第217回国会(常会)
質問第一二二号 JUTMに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年五月十九日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 JUTMに関する質問主意書 日本無人機運行管理コンソーシアム(以下「JUTM」という。)は、無人機(ドローン)の安全運行と社会実装推進に必要な技術開発と環境整備を行っている。ドローンを五・七ギガヘルツ帯で運用する際、自衛隊や民間団体はJUTMに加入する必要があるという言説があり、現在、自衛隊・企業・個人が加入している。他方、衆議院予算委員会(令和七年二月五日)において橋本幹彦衆議院議員は、自衛隊が「JUTMのルールにのっとって運用しなければならないという法的な根拠はないわけです。」と指摘している。 JUTMには中国法人のドローンメーカーであるDJIが加入しており、経済安全保障上の懸念がある。また、JUTM所在地である東京大学において、JUTM代表者である鈴木真二氏が所属している東京大学未来ビジョン研究センターは、国防七校(中国の最高国家権力機関の執行機関である国務院に属する国防科技工業局によって直接管理されている大学であり、中国人民解放軍と軍事技術開発に関する契約を締結し、先端兵器などの開発などを一部行っている大学)と共同研究を行っていると承知している。さらに、同センターでは令和四年七月中旬、マルウェア感染を起因とした情報流出事件が発生しており、ホームページでは令和五年三月二十八日付けで「東京大学未来ビジョン研究センターへの不正アクセスによる情報流出について」と題し、その詳細を公表している。 以上を踏まえ、以下質問する。 一 JUTMへの加入と申請について、法令上の義務はあるか示されたい。義務がない場合、ドローン用カメラの販売サイト等で「このカメラの使用はJUTMへの加盟が必要になります」という表記がされている根拠を政府は承知しているか。承知している場合、どのような根拠に基づいた表記か示されたい。 二 政府とJUTMとの関わりについて、業務委託や行政権限の付与など関わりがある府省庁ごとに、その内容を全て示されたい。 三 JUTMに対しDJI JAPAN等の中国系企業から人員ないし資金の援助があることについて 1 前記三の事実を政府は把握しているか示されたい。把握している場合はその内容を全て示されたい。 2 政府はこれまで前記三の事実に関する調査ないし確認を行ったか示されたい。行った場合は詳細を示されたい。行っていない場合は、経済安全保障の観点から調査ないし確認する必要性があると考えるが、政府の見解を示されたい。 四 電波調整の情報の管理・保護について 1 政府は、JUTMが電波調整の情報を適切に管理・保護しているか、JUTMの情報セキュリティに関する具体的な取組の確認ないし査察を行っているか示されたい。JUTMが電波調整の情報の管理・保護、情報セキュリティに関する具体的な取組を行っている場合、その詳細を示されたい。 2 JUTM代表者である鈴木真二氏が所属する東京大学未来ビジョン研究センターでは、令和四年に学外の個人情報(会議出席者のメールアドレス等)等の流出を起こしているが、JUTMに同様のリスクが存在する可能性について、政府の見解を示されたい。 3 前記四の2について、同様のリスクへの対策はされているか、政府の見解を示されたい。 五 JUTMは「無人移動体画像伝送システム 電波調整WG」を設置し、関係者間の運用調整をしていると承知しているが、実際にはメールのやりとりを行うのみであり、JUTMは運用調整をしていないものと思科する。 1 JUTMは、専用のシステムなどを用いた技術的な運用調整を行っているのか、政府の把握状況を示されたい。 2 前記五の1を除く、運用調整におけるJUTMの役割について、政府の把握状況を示されたい。 六 自衛隊がドローン運用時に電波を利用することについて 1 自衛隊が電波を利用することは業務行為に当たるのか、政府の見解を示されたい。 2 前記六の1に関連して、自衛隊の業務行為に関する具体的な規制内容について、根拠法令及び所管府省庁を全て示されたい。 3 前記六の2について、自衛隊の業務行為に関する規制内容の所管が複数の府省庁にまたがる場合、自衛隊の業務行為が円滑に遂行できないことが懸念されると考えるが、政府の見解を示されたい。 七 前記橋本議員の質疑に対し、政府は「民間向けの周波数を使用する場合には、他のドローンとの混信を避けるため、民間と同様、JUTMに加入し、運用調整を行う必要があると認識しております。」と答弁しているが、自衛隊がJUTMへの加入以外の方法で運用調整ができる場合、若しくは当該エリアで民間の電波利用がないことを確認できる場合、JUTMによる運用調整は不要と考えるが、政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |