第217回国会(常会)
質問第一二一号 再エネ賦課金に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年五月十九日 野田 国義
参議院議長 関口 昌一 殿 再エネ賦課金に関する質問主意書 令和七年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下「再エネ賦課金」という。)単価は、前年度の三・四九円から約十四%増の一キロワットアワー当たり三・九八円に決定され、制度開始以来最高額となっている。再エネ賦課金の原資は、家庭や企業を問わず、電気を利用する全ての人々が支払う料金であり、国民負担である。特に、家計がひっ迫している層や電力消費の多い中小企業にとって、この負担増が生活や経営に重くのしかかっている。電力多消費型の産業向けに一部減免制度が設けられているが、多くの家庭や中小企業には適用されないため、大口需要家のみを優遇しているといった声も存在する。 再エネ賦課金の負担増の原因は、平成二十四年度から二十五年度にかけての固定価格買取制度の認定基準の運用にあったとの指摘があることを踏まえ、以下質問する。 一 過去最高水準まで高騰している再エネ賦課金が、多くの一般家庭及び中小企業における電気料金負担を増大させ、家計や企業経営を圧迫している現状について、政府の認識を示されたい。また、この負担増が国民生活及び地域経済活動に与える具体的な影響をどのように評価しているか、政府の見解を明らかにされたい。 二 再エネ賦課金の減免制度は、電力多消費型産業等の大口需要家に対して適用される一方で、多くの一般家庭や中小企業には適用されない。これにより、国民の間で負担の公平性(逆進性など)に対する疑問や不満が生じていることについて、政府の認識を示されたい。また、この公平性に係る課題に対する政府の今後の取組について、具体的な方策を含めて明らかにされたい。 三 再エネ賦課金として徴収された資金が、個別の再エネ発電事業者にどのように分配・補填されているのか示されたい。また、その資金の使途の透明性を高めるための具体的な取組について政府の考えを明らかにされたい。 四 資源エネルギー庁は平成二十四年十二月十日付で、固定価格買取制度における設備認定に関し、五百キロワット以上の太陽光発電設備が申請時点で設置場所の所有権、賃貸借契約又は地上権の設定を受けていない場合、「権利者の証明書」を必須書類とする運用変更を行った。私が提出した「固定価格買取制度における出力制御に関する質問主意書」(第二百十七回国会質問第九四号)に対する答弁(内閣参質二一七第九四号。以下「答弁書」という。)において、政府は、「「運用変更に至った経緯及び目的」については、再生可能エネルギー発電設備を設置する場所に関して複数の事業者間で紛争が発生したこと等を踏まえ、申請の基準への適合性をより厳格に確認することが目的であり、当該目的は達成することができたと考えている」としている。ここで言う権利者とは地権者(土地の所有者、地上権者、永小作権者、賃借権者)を指すと考えるが、権利者の定義について明らかにされたい。 五 経済産業省は、改正前の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号。以下「再エネ特措法」という。)の規定に基づき、平成二十五年度及び二十六年度に報告徴収を行い、発電設備を設置する場所及び当該設備の仕様が確認できない場合、聴聞を経て、認定取消処分を行っている。その結果、高い買取価格(太陽光十キロワット以上、平成二十四年度は税抜き四十円、二十五年度は三十六円)の権利だけを取得した転売目的の事業者や、場所を使用する権原を疎明するまで長期間を要した事業者など、調達価格を維持するに相応しくない事業者が一定程度排除されたと承知している。当該事業者が排除されるまで、送電線の系統連系枠が当該事業者により確保されていたため、系統連携を望む後続の事業者の接続を妨げていたと考えるが、この点について政府の認識を示されたい。 六 答弁書において、政府は再エネ特措法の運用に当たり、「再生可能エネルギーの導入拡大を促進する観点から、御指摘の「接続可能量」を超過することを理由として認定を行わない判断をすることとはしていなかった」としている。設備認定を行う際、認定容量の合計が電気事業者の接続可能量を超過した場合に無制限の出力制御が発生するリスクや、送電系統容量を超過した場合に設備増強の費用負担が発生するリスクについて予見していたか示されたい。予見していた場合、その内容及びそのことを事業者に周知していたか明らかにされたい。 七 平成二十五年度に九州経済産業局が発出した報告徴収の送付状には、「着工が遅れており、平成二十四年度の調達価格を維持するに相応しいかどうかを改めて検証する必要のあるケースが生じている」とあり、場所及び設備の確保に関する根拠資料を用意できる見通しが低い場合、自ら認定を廃止し、年度末までに平成二十五年度の認定を新たに申請するよう勧める内容となっている。このことから、報告徴収において根拠書類を用意できない案件は、例外なく平成二十四年度の調達価格を維持できないと解してよいか、政府の見解を示されたい。 八 報告徴収の注意事項には、土地を使用する権原を有している証拠書類として、認定申請時に提出された「権利者の証明書」は認められないとあり、例外規定は設けられていない。 また、同じく注意事項には、「契約書等の証拠書類が他の法令・制度と整合がとれていること。具体的には、農地法に基づく農地転用、森林法に基づく林地開発、都市計画法に基づく開発、自治体が定める景観条例等の許認可手続を発電事業者の責任において適切に行い、これらと整合がとれていること」とあり、例外規定は設けられていない。このことから、「権利者の証明書」以外に証拠書類として提出できない案件や行政処分庁の許認可申請が行われていない案件は全て聴聞の対象となると解してよいか、政府の見解を示されたい。 九 平成二十七年九月に総務省が公表した「再生可能エネルギーの固定価格買取制度の運営に関する実態調査結果報告書」によると、平成二十四年度に認定を受けた太陽光発電設備に係る案件に対する報告徴収において、「場所又は設備のいずれかのみが決定」及び「場所及び設備のいずれも未決定」の案件が「電力会社と接続協議中であることが確認されたため」という理由(以下「電力事由」という。)で聴聞が猶予されていることが確認できる。電力事由とはいかなる状況を指すのか客観的な定義を示されたい。また、電力事由で聴聞が猶予された案件群について、発電容量や発電事業者の資本力など何らかの判断基準は存在したか示されたい。存在した場合、その内容及び判断基準とした根拠について示されたい。 右質問する。 |