第217回国会(常会)
質問第一二〇号 伊豆・小笠原諸島の医療・介護や物価高騰対策に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年五月十六日 吉良 よし子
参議院議長 関口 昌一 殿 伊豆・小笠原諸島の医療・介護や物価高騰対策に関する質問主意書 伊豆・小笠原諸島は豊かな自然と歴史・文化を持ち、国土と海域の保全、海洋資源の利用、食料の供給、自然とのふれあいの場の提供など様々な分野で重要な役割を果たしている。しかし、周りを海に囲まれるなど厳しい自然条件にあるほか、人口の減少と高齢化が進んでおり、その振興と住民生活の向上のためには国による一層の支援が求められている。 離島振興法第一条の三(国及び都道府県の責務)は、「国は、前条の基本理念にのつとり、離島の振興のために必要な施策を総合的かつ積極的に策定し、及び実施する責務を有する」とし、小笠原諸島振興開発特別措置法第三条(国及び地方公共団体の責務)は、「国及び地方公共団体は、前条の基本理念にのつとり、小笠原諸島の振興開発のために必要な施策を策定し、及び実施する責務を有する」としている。 私はこれまで伊豆・小笠原諸島において、町村議会議員などと協力し、住民と懇談を行い、住民から切実な要求・要望をお聞きしてきた。 これらを踏まえ、施策の改善・充実のため以下質問する。 一 介護保険と介護報酬について 1 離島地域における訪問系サービスの介護報酬には「特別地域加算」が設けられている。しかし、当該加算は、移動距離が長く、ガソリン代も高い離島地域の実情に見合うものとは言えない。東京都三宅村で唯一の訪問介護事業所は、経費の負担が重く、これまで週五回であったデイサービスを二〇二五年度から週三回に減らさざるを得ない状況とのことである。こうした実態を調査・把握し、一層の加算など支援策を講ずるべきと考えるが政府の見解を示されたい。 2 離島地域における介護報酬の加算は特別養護老人ホームなど施設サービスには設けられていない。離島地域の施設では、例えば介護リフトの保守・点検時、本土から作業者が来島した際には交通費と宿泊費が必要となり、追加的な費用が必要である。また、クリーニング業者が島内におらず、施設独自で巨大な洗濯設備を設けざるを得ないというところも少なくなく、新規投資・保守更新の費用はばくだいである。こうした状況は離島ならではの問題であり、負担を軽減するために施設サービスに対する介護報酬の加算など支援策を講ずるべきと考えるが政府の見解を示されたい。 3 介護報酬の加算が行われれば利用者には追加的な負担が生じる。離島地域では「特別地域加算に係る利用者負担額軽減措置」が設けられている。介護報酬の加算措置が講じられた際には、利用者の負担増が生じないように利用料を低減する措置を講ずるべきと考えるが政府の見解を示されたい。 4 離島地域では介護人材の確保が一層困難になっている。介護人材確保のために介護報酬の引上げや更なる公的支援を行うべきと考えるが政府の見解を示されたい。 二 遠隔医療について 1 医療資源に制約がある離島地域においては、住民の医療アクセスを確保する上で遠隔診療の拡充が重要である。東京都八丈町では循環器科、長崎県の離島では脳神経内科、皮膚科、消化器内科において、5G通信を活用し、4Kビデオカメラ、超音波診断装置、内視鏡による画像を本土の医療機関の専門医とリアルタイムで共有する診療支援を行っている。しかし、これらの診療に係る診療報酬は離島の医療機関に入り、診療支援を行った本土の病院において算定できない。これが遠隔診療の体制の拡充を進める上で一つのネックとなっている。現在、CT検査やMRI検査の遠隔画像診断を行った際には本土の支援側の医療機関は診療報酬を算定することができるが、それ以外の診療支援についても、本土の支援側の医療機関の取組を経済的に支える診療報酬上の措置を取るべきと考えるが政府の見解を示されたい。 2 遠隔診療に必要な施設・設備の整備は診療報酬だけでは不可能であり、国による支援が不可欠である。遠隔診療に必要な施設・設備の整備に対して国が支援を行うべきと考えるが政府の見解を示されたい。 三 生活保護費について 離島地域では物価が本土と比べて高い状況に鑑み、生存権を保障するために、級地区分を見直し、生活保護費を増額すべきと考えるが政府の見解を示されたい。 四 物価高騰対策とガソリン価格等の低減について 物価高騰が離島地域の住民の生活に深刻な影響を及ぼしている。ガソリン、軽油、灯油など燃油は高額で、二〇二五年四月初めのガソリン価格は、東京都大島町では一リットル当たり二百十三円~二百十六円、三宅村では二百二十五円、御蔵島村では二百五十六円という状況であった。従来、政府は離島のガソリン流通コスト対策事業を実施しているが、離島地域でのガソリン、軽油、灯油などの価格の実態や島民生活への影響を調査し、価格が十分に低減されるよう必要な措置を講ずるべきと考えるが政府の見解を示されたい。 右質問する。 |