第217回国会(常会)
質問第一一三号 第二回日中ハイレベル人的・文化交流対話において言論空間における政府による言論規制を取り決めたとの指摘に関する再質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年四月三十日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 第二回日中ハイレベル人的・文化交流対話において言論空間における政府による言論規制を取り決めたとの指摘に関する再質問主意書 私が提出した「第二回日中ハイレベル人的・文化交流対話において言論空間における政府による言論規制を取り決めたとの指摘に関する質問主意書」(第二百十七回国会質問第七四号)に対する答弁書(内閣参質二一七第七四号。以下「答弁書」という。)について、以下質問する。 一 答弁書「一について」では、「第二回日中ハイレベル人的・文化交流対話においては、日中両国間で合意した文書を作成しておらず、その上で、同対話の結果については、日中双方が対話のやり取りを踏まえて発表する形をとっている。」と答弁している。一方、答弁書「二について」では、当該対話の結果を中国側が公表した際のタイトル「中日高級別人文交流磋商達成十項共識」(中国語(簡体字)は日本の漢字で記載。以下同じ。以下「中国側の公表」という。)に記載のある「共識」の意味を「「共同の認識」といった意味があるものとされていると承知している。」と答弁している。当該対話において、日中間の「共同の認識」を確認した事実はあるか示されたい。また、「共同の認識」以外に考えられる「共識」の意味(ニュアンスも含む)に即し確認した内容があれば、それらを全て示されたい。 二 いわゆる「九二共識」では、中国と台湾が「一つの中国」問題に合意したか否かで論争が起きている。 1 九二共識において、中国と台湾間で論争が発生した原因について、政府が把握している状況を全て示されたい。 2 当該対話の結果について、九二共識と同様に今後、日中間において合意したか否かで論争が発展するリスクを政府はどの程度想定しているか示されたい。 三 中国側の公表について 1 中国側の公表にある「七是加強媒体、智庫交流合作、在双辺関係中発揮積極作用、着力改善民意和輿論環境。支持双方開展新媒体交流合作、鼓励両国正能量網絡創作者相互交流。」について、政府の解釈を示されたい。 2 前記三の1に関連し、「正能量」が「インターネット上の言論空間において政府が良い悪いを判断すること」という意味であり、極めて問題である旨指摘されている点について、政府の見解を示されたい。 3 答弁書「三について」では、「一般論として、言論の自由を含む表現の自由は、民主主義国家の政治的基盤を成し、国民の基本的人権のうちでも取り分け重要なものであるところ、これを尊重することは当然のことであると考えている。」と答弁している。当該政府見解と前記三の1の解釈との間で異なる点があれば全て示されたい。 四 中国側の公表が「共識」として現在公開されている状態のまま存在し、日本政府がこの存在を認識しているにもかかわらず何ら対応しない場合、対応しない事実をもって、日本政府が日本国民の表現の自由に干渉することを支持し、中国政府が日本国民の思想に対する判断主体として加わることを日本政府が容認することと同義であると考えるが、政府の見解を示されたい。また、同義でないとの見解であっても、中国側がこれらの事実を都合よく解釈し、外交成果として利用するリスクが十分考えられるが、政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |