質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一一一号

介護保険料の上限設定と介護給付費の適正化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年四月三十日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   介護保険料の上限設定と介護給付費の適正化に関する質問主意書

 私が提出した「団塊の世代が後期高齢者となることで介護保険料負担が劇的に増加し現役世代を大きく苦しめる可能性等に関する質問主意書」(第二百十七回国会質問第五二号)に対する答弁書(内閣参質二一七第五二号。以下「政府答弁書」という。)において、「「介護保険料及び保険料率」に「上限」を設定することは困難と考えている」との答弁があった。また、上限を設けない理由として、「介護保険料による収入が十分に確保されなくなるおそれがあり、ひいては、市町村において当該サービス量等を十分に見込めなくなるおそれがある」と答弁している。

 しかし、医療保険料や年金保険料の標準報酬月額については、それぞれ法令により上限が設定されており、介護保険料にのみ上限が存在しない事実に対する合理的な理由の説明がない。介護保険料及び保険料率にのみ上限が設定されていない現状の制度では、今後団塊の世代が後期高齢者となること等で国民負担が青天井となりかねないと考えられる。また、政府は「「介護給付の適正化のために保険者が行う適正化事業」として、「要介護認定の適正化」、「ケアプラン等の点検」、「医療情報との突合・縦覧点検」等を推進している」と答弁しているが、その具体的な実施内容及び効果については不明確である。以上を踏まえ、以下質問する。

一 医療保険料及び年金保険料に上限が定められている理由をそれぞれ示されたい。

二 介護保険料及び保険料率に上限が設けられていない理由について、政府答弁書は「介護保険料による収入が十分に確保されなくなるおそれがあ」るとしているが、医療保険料及び年金保険料には上限が定められている。同様の論理が医療保険料及び年金保険料に当てはまらない理由を示されたい。

三 政府答弁書の「介護給付の適正化のために保険者が行う適正化事業」として推進されている「要介護認定の適正化」について、実施開始時期及び具体的な内容(例えば、認定の審査方法や見直し基準の変更等)を示されたい。また、内容ごとに、これまでどの程度の介護給付費の抑制効果があったのか、実施開始年度から直近年度までの年度ごとの定量評価及び実績詳細を全て示されたい。

四 政府答弁書の「介護給付の適正化のために保険者が行う適正化事業」として推進されている「ケアプラン等の点検」について、実施開始時期、具体的な実施内容、点検項目、実施主体及び運用方法を全て示されたい。また、「ケアプラン等の点検」により、過剰・不要なサービス利用が是正された実績や介護給付費の削減効果があれば、実施開始年度から直近年度までの年度ごとの定量評価及び実績詳細を示されたい。

五 政府答弁書の「介護給付の適正化のために保険者が行う適正化事業」として推進されている「医療情報との突合・縦覧点検」について、医療情報の詳細、突合・縦覧点検する際の基準及び不適正なサービス利用等が発見されたケースを具体的に示されたい。また、実施開始時期、具体的な実施内容、点検項目、実施主体及び運用方法を全て示されたい。さらに、「医療情報との突合・縦覧点検」により、どの程度の介護給付費の適正化が図られたのか、実施開始年度から直近年度までの年度ごとの定量評価及び実績詳細を示されたい。

六 前記三から五までについて、これらの施策を実施したにもかかわらず、介護給付費が増加してきたことについて、施策が不十分、若しくは、施策の運用に問題があったと思料するが、政府の施策に係る評価及び見解を示されたい。

七 前記三から五までについて、今後も介護給付費が増加し続ける見通しである場合、介護保険料の更なる引上げが行われる可能性があると考えられる。保険料負担の上限や給付の範囲等について、制度的な見直しを検討する余地が十分にあると考えるが、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。