質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一一○号

社会保険料の事業主負担に関する政府見解の整合性に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年四月三十日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   社会保険料の事業主負担に関する政府見解の整合性に関する再質問主意書

 私が提出した「社会保険料の事業主負担に関する政府見解の整合性に関する質問主意書」(第二百十七回国会質問第二九号)に対する答弁書(内閣参質二一七第二九号。以下「答弁書」という。)では、社会保険料の事業主負担が「「労働者の雇用形態(正規・非正規雇用)に与える影響」及び「企業経営や雇用に与える影響」について、一概に評価することは困難である」と答弁している。しかし、答弁書で根拠として挙げられた「平成十七年度厚生労働科学研究費補助金による「税制と社会保障に関する研究」において行われた、「社会保険料の事業主負担は本当に労働者が負担しているのか?」」(以下「報告書」という。)においては、次のように記載されている。

 「社会保険料の事業主負担が、賃金低下や雇用量減少という形で労働者の負担になっているのではないかという主張が本当なのか、先行研究の整理を行った結果、大まかには帰着が起きている事実が確認された。」(報告書百一頁より抜粋。以下「報告書記載内容」という。)

 すなわち、答弁書が根拠とする報告書では「大まかには帰着が起きている」と明言しているにもかかわらず、答弁書ではその点に触れず、「一概に評価することは困難である」としていることは、答弁として誠実性に欠け、政策形成の前提に関わる重大な問題であると考える。

 また、報告書は平成十七年度のものであり、それ以降の約二十年間に、国内外で多くの実証研究や分析が行われている。それにもかかわらず、答弁書ではそれらの研究や分析等に一切触れていないため、最新の研究や分析結果を政府が認識しないまま議論されていると大いに懸念される。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 報告書記載内容を政府は把握していたか示されたい。把握していた場合、その趣旨を答弁書に明記しなかった理由を示されたい。

二 報告書記載内容について、政府は否定していないと解してよいか。政府の見解を明確に示されたい。

三 社会保険料の事業主負担が労働者負担に帰着している可能性があることを前提とした場合、これが賃金水準、雇用調整及び非正規雇用の増加等に及ぼす影響について、政府として新たに評価を行う考えはあるか示されたい。考えがある場合、その具体的な方針を示されたい。考えがない場合、評価を行わない理由を示されたい。

四 平成十七年以降に国内外で行われた、社会保険料の費用負担とその帰着、賃金や雇用への影響に関する実証研究等の根拠資料は様々あると考えられるが、政府としてこれらを把握しているか示されたい。把握している場合、その具体的内容及びその内容に対する政府の見解をそれぞれ示されたい。把握していない場合、把握していない理由及び今後把握する考えがあるか、理由と併せて示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。