質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一○九号

原発作業員の安全管理及び労災認定基準に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年四月三十日

山本 太郎


       参議院議長 関口 昌一 殿



   原発作業員の安全管理及び労災認定基準に関する質問主意書

 二○一一年十月から東京電力福島第一原子力発電所の事故収束作業に従事していた北九州市の男性作業員(五十歳)が白血病を発症した問題で、二〇二五年一月、東京都労働委員会は、事故収束作業を担っていた共同企業体(JV)の代表である竹中工務店に対し、二次下請であった当該作業員が所属する労働組合である原発関連労働者ユニオンとの団体交渉に誠実に応じるよう命令を出した。このように、当時の元請企業であった竹中工務店によるずさんな安全管理が問題になっている。

 胃がん・食道がん・結腸がん(以下「固形がん」という。)等の労災補償の考え方では、百ミリシーベルト以上の被曝量、被曝開始から五年以上経過後のがん発症等を判断基準としている。しかし、同基準は八十年前の原爆被爆者の偏ったデータに基づく、十年以上も前に示されたものであり、原発作業員等に当てはめることについて、多くの専門家から問題点が指摘されている。私は、これらの問題について参議院環境委員会(二〇二五年三月二十四日)で取り上げ、政府から今後の検討や対応を約束する答弁を得た。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 私は参議院環境委員会(二○二五年三月二十四日)で、「作業員の安全管理、健康管理に対して、直接雇用関係になくても、元請事業者が一義的な責任を負うように制度を見直すべきだとお考えになりますか。」と質疑し、田中仁志政府参考人から「しっかりとした労働安全衛生体制を構築していくということは重要」、鰐淵厚生労働副大臣から「しっかり私自身ももう一度精査もさせていただきたい」との答弁を得た。

 「しっかり精査」して得られた結論はどのようなものか示されたい。そして、その精査を踏まえ、福岡厚生労働大臣は制度見直しに向けてどのような指示を出したか示されたい。

二 私は参議院環境委員会(二○二五年三月二十四日)で固形がんの労災認定基準について、「八十年前の原爆被爆者の偏ったデータに基づく十年以上も前の基準を直ちに見直すべきではないかと思いますが、副大臣、いかがお考えですか。」と質疑し、鰐淵厚生労働副大臣から「現場で活躍していただいている、活動していただいている方々の安心、安全を守ることも重要な課題でございますので、しっかりと必要に応じて検討させていただきたい」との答弁を得た。

 「しっかり検討」して得られた結論はどのようなものか示されたい。そして、その検討を踏まえ、福岡厚生労働大臣はどのような対応を指示したか示されたい。

三 私は参議院予算委員会(二○二五年三月二十七日)に向け、「二○二三年INWORKS調査結果も踏まえて、どのように、いつ固形がんの被曝労災基準の見直しを検討していくのか、その検討結果をいつ示すのか、お答えください」と質疑通告したところ、厚生労働省から、「ご指摘の調査結果については、既に把握し、専門家の御意見もお聞きしたところであるが、国際的に合意されている科学的知見と相違していること等もあり、現段階では労災補償の考え方の変更には至っていない」との回答(二○二五年三月二十六日)があった。

 二○二三年INWORKS調査結果と相違する「国際的に合意されている科学的知見」とはどのようなものであるか示した上で、その知見が示された資料の出典を示されたい。

四 私は環境委員会(二○二五年三月二十四日)で、「八十年前の原爆被爆者のデータに基づく十年以上も前の基準を、これ見直すということは必要だというふうに私は思うんですけれども、必要あると思うか、ないと思うか」と質疑し、山中伸介原子力規制委員長から「私ども規制委員会でも、新知見については十分検討し、規制に反映すべきところは反映してまいりたいというふうに考えております。」との答弁を得た。

 原子力規制委員会として、固形がんの労災補償の考え方における百ミリシーベルト以上の被曝量、被曝開始から五年以上経過後のがん発症等の判断基準を、最新の医学的知見を踏まえて見直すことについて、いつから検討を開始し、その検討結果をどのように公表するか示されたい。

  右質問する。