質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第九八号

「赤字であること」を医療法人設立の不認可要件とする法的根拠等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年四月十六日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   「赤字であること」を医療法人設立の不認可要件とする法的根拠等に関する質問主意書

 近年、地域医療を支える重要な存在である医療法人の設立に際して、所轄行政庁が「赤字であること」を理由として不認可とする事例が散見される。しかし、医療法を始めとする関係法令上、いわゆる「赤字であること」を医療法人設立の不認可要件とする条文は確認できない。それにもかかわらず、所轄行政庁が赤字であるという一点のみを理由として不認可処分をするという運用は、法の趣旨との整合性及び医療法人制度の目的である医療の継続性確保という観点から疑義があると考えられる。これらを踏まえ、以下質問する。

一 医療法人の設立に当たり、所轄行政庁が財務上の赤字を理由に不認可とする運用が行われている事実について、政府は把握しているか示されたい。また、把握している場合、過去五年間における不認可の件数及び主な理由を詳細に示されたい。

二 医療法又は関係法令において、「赤字であること」を医療法人設立の不認可要件とする明文規定は存在するか示されたい。存在しない場合、所轄行政庁が赤字であることを理由として不認可とすることの法的根拠を示されたい。

三 赤字であっても、資金調達力、経営計画、地域医療への貢献度等を総合的に評価して医療法人設立を認可するなど、柔軟に運用することは十分に可能であると考えるが、政府の見解を示されたい。

四 所轄行政庁における医療法人設立の認可基準や判断プロセスについて、地域間格差や恣意的運用が生じている可能性若しくは今後生じる可能性があることを政府は把握しているか示されたい。また、公平性を損なうリスクや市場の適正化を阻害するリスク、地域住民の医療費高騰につながるリスク等、地域間格差や恣意的運用が横行することで生じ得るリスクを政府は把握しているか示されたい。把握している場合、全て示されたい。

五 所轄行政庁における医療法人設立の認可基準や判断プロセスについて、地域間格差や恣意的運用が生じないよう、政府として統一的なガイドラインを策定・周知する考えはあるか示されたい。また、現時点での対応及び今後の方針を示されたい。

六 前記五について、統一的なガイドラインを策定・周知する考えがない場合、前記四のリスクについて政府の対処方針を全て示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。