質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第九五号

石綿健康被害救済法による特別遺族給付金の認定に係る旧国鉄元職員の遺族及びJR元職員の遺族間の権衡に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年四月十一日

福島 みずほ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   石綿健康被害救済法による特別遺族給付金の認定に係る旧国鉄元職員の遺族及びJR元職員の遺族間の権衡に関する再質問主意書

 私が第二百十七回国会に提出した「石綿健康被害救済法による特別遺族給付金の認定に係る旧国鉄元職員の遺族及びJR元職員の遺族間の権衡に関する質問主意書」(第二百十七回国会質問第四八号。以下「質問主意書」という。)に対して、答弁書(内閣参質二一七第四八号。以下「答弁書」という。)の送付があった。

 答弁書「一について」では、「日本国有鉄道(以下「旧国鉄」という。)の元職員に係る労働災害の認定等については、石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号。以下「法」という。)が適用されるものではなく、御指摘の「旧国鉄の清算事業を引き継ぐ」独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)においては、特別遺族給付金(法第五十九条第二項に規定する特別遺族給付金をいう。以下同じ。)に関する事務を行っていない。」とある。しかし、機構の特例業務所管組織昭和六十二年三月三十一日以前に係る業務災害補償等規程(以下「規程」という。)第一条に規定される「法令」には、法が掲げられている。また、規程第六十四条にも「特別遺族給付金」が規定されている。かかる規程の規定に照らしても、旧国鉄元職員の遺族及びJR元職員の遺族間の権衡を失することは、許されないと考える。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 質問主意書「二」において、機構の「専門医による石綿に関する検討会」(以下「検討会」という。)が基準を誤用していることを指摘したところ、答弁書「二について」では、「機構においては、特別遺族給付金に関する事務を行っておらず、法第三条に規定する救済給付の御指摘の「基準」を「用いて」いないことから、御指摘のように「基準を誤用している」とは考えていない。」とある。しかし、令和五年四月二十一日に行われた第一九五回の検討会では、石綿ばく露作業従事期間約三十四年、死亡診断書に記載された病名「右胸膜中皮腫 右胸水」と事実認定されているにもかかわらず、不認定と判定された。そして、不認定理由は、「石綿による健康被害の救済に関する法律(法施行日 平成十八年三月二十七日)以降に認定の申請をしないで指定疾病に(ママ)死亡された方(未申請死亡者)の医学的判定の考え方の認定要件に該当しない。」というものである。

 前記不認定理由のとおり、検討会が用いた基準は、明らかに法第三条に規定する救済給付(以下「救済給付」という。)の「基準」(「石綿による健康被害の救済に関する法律における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方等の改正について(通知)(平成二十五年六月十八日環保企発第一三〇六一八二号)」)である。よって、「基準を誤用している」とは考えていないとの答弁は、事実誤認であると思料されるが、政府の見解を示されたい。

二 第一九五回以外の検討会においても、救済給付の基準を誤用していると思料されることから、不認定事案を精査し、認定し直すべきと考えるが政府の見解を示されたい。

三 「石綿による疾病の認定基準について(平成二十四年三月二十九日基発〇三二九第二号)」(以下「認定基準」という。)の第三の四には、「石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)に基づく特別遺族給付金の認定における疾病の特定及び死亡の原因の判断については、上記二及び三にかかわらず、特別遺族給付金の支給請求書に添付された死亡診断書等の記載事項証明書等の記載内容により判断すれば足りるものであること。」と明記されている。したがって、検討会は、死亡診断書における石綿肺(石綿肺合併症を含む。)、中皮腫、肺がん及びびまん性胸膜肥厚との記載並びに石綿ばく露作業従事が認められる場合、前記一のように救済給付の基準によって不認定とするのではなく、認定基準に沿って認定すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 答弁書「一について」では、「お尋ねの「認定基準の第三の四等に拘束されるか」及び「反証がない限り認定」の意味するところが必ずしも明らかではない」とあるが、認定基準の第三の四とは、前記三のとおり、特別遺族給付金の認定における疾病の特定及び死亡の原因の判断においては死亡診断書等の記載内容により判断することである。

 機構の特例業務所管組織昭和六十二年三月三十一日以前に係る業務災害補償等取扱基準第十条によれば、認定基準に準じて認定することとされているため、機構及び検討会は認定基準の第三の四に拘束されると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。