第217回国会(常会)
質問第八七号 原子力災害時における住民避難のための実動組織による支援に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年四月四日 山本 太郎
参議院議長 関口 昌一 殿 原子力災害時における住民避難のための実動組織による支援に関する質問主意書 私は令和七年三月十七日の参議院予算委員会において、原子力災害時における住民の避難手段としてのバスや運転手の確保について質問した。これに対し、石破茂首相は「あらかじめ、被曝線量限度の範囲を超えるなどによりバス事業者の活動が困難となる場合は、緊急時対応において、自治体の要請により自衛隊等の実動組織が支援する」と答弁した(以下「総理答弁」という。)。また、同年三月十三日の参議院環境委員会において、浅尾慶一郎原子力防災担当相は「あらかじめバス事業者と自治体との間で協議された被曝線量限度内の範囲内で活動していただくこととなります。その上で、あらかじめ決めていた被曝線量の範囲を超えるなどによりバス事業者の活動が困難となる場合は、緊急時対応において自治体の要請により自衛隊等の実動組織が支援することを想定しております」と答弁した(以下「原子力防災担当相答弁」という。)。これらは同じ趣旨の答弁と理解している。 避難計画を策定する自治体が地元のバス協会等と締結した住民避難に関する協定書では、一ミリシーベルトを被曝線量限度と明記するものが多いと承知している。 原子力防災会議連絡会議コアメンバー会議が平成二十五年十月九日に策定した「共通課題についての対応方針」において、「民間企業の運転手等は、放射線業務従事者や防災業務関係者とは異なり一般公衆の被ばく線量管理の考え方の適用が適当であることから、道府県及び市町村が民間企業との協力協定を締結する際に前提とする運転手等の被ばく線量の管理の目安は、ICRP勧告における平時(計画被ばく状況)の一般公衆の被ばく線量限度である一ミリシーベルトを基本とする」と規定している。また、内閣府(原子力防災担当)が平成二十九年七月二十四日にまとめた「原子力災害時の民間事業者との協力協定等の締結について」においても、前記対応方針を引用する形で「当該被ばく線量の管理の目安は、平成二十五年に「共通課題についての対応方針」(中略)において示されている一ミリシーベルトを基本として、自治体と民間事業者の間で協議し、合意することが必要である」と規定している。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 総理答弁及び原子力防災担当相答弁で言及されたバス事業者と自治体との間であらかじめ決めた「被曝線量限度」について、政府は一ミリシーベルトではない数値を限度として設定している事例を把握しているか。把握している場合、具体的に示すとともに、当該数値の根拠となる法令及び規定も併せて示されたい。 二 総理答弁における「あらかじめ、被曝線量限度の範囲を超えるなどによりバス事業者の活動が困難となる場合」について、以下の質問に答えられたい。 1 自治体が支援を要請した際、自衛隊等の実動組織は要請された支援を行う法的義務があるか示されたい。法的義務がある場合、その根拠となる法規の条文を示されたい。 2 自治体が自衛隊等の実動組織に支援を要請する仕組みは、どのような法規によって定められているのか示されたい。 3 自衛隊等の実動組織に支援を要請する権限を持つ自治体について、都道府県知事が要請をしなければ要請は効果を持たないのか示されたい。また、市町村長からの要請であっても自衛隊などの実動組織は要請に応じるのか示されたい。 4 自治体の要請による自衛隊等の実動組織の支援の中身について、対象地域ごとに避難支援用車両数及び運転要員数も含めて具体的に定めた計画は策定されているか示されたい。 策定されている場合、当該計画において、避難支援用車両数及び運転要員数がどのように確保されることになっているか示されたい。 右質問する。 |