第217回国会(常会)
質問第八二号 公益通報の濫用的通報者が存在する事実への対処に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年四月三日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 公益通報の濫用的通報者が存在する事実への対処に関する質問主意書 公益通報者保護法の目的は、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することである。消費者庁は、令和六年十二月二十七日に公益通報者保護制度検討会報告書(以下「同報告書」という。)を公表し、同報告書を基に公益通報者保護法の一部を改正する法律案(閣法第三二号。以下「改正法案」という。)を第二百十七回国会に提出している。同報告書及び改正法案について、以下質問する。 一 同報告書の個別論点のうち、公益通報を阻害する要因への対処として「濫用的通報者の対応」が挙げられている。同報告書十七頁の注釈には「事業者からのヒアリングでは、「自己の人事上の処遇を有利にする目的、自分が楽なように業務フローを変更させる目的、自分がしたくない仕事をしなくて済むようにする目的、自分が嫌な人を異動させたい、自分が快適なように職場環境を変更させる目的、会社に不満を述べることで自身のストレスを発散させる目的、自分の主張を認めさせることで自己承認欲求を満たす目的などではないかと推測される通報も存在する」との指摘があった。」と記載されている。こうした通報により「従事者の業務の大半が、こうした通報への対応に奪われた場合、事業者にとって真に対応が必要な通報が見逃され、違法行為の是正が図られなくなるおそれがある。」と指摘されている。この濫用的通報者への対応は改正法案に盛り込まれていないが、盛り込まなかった理由を示されたい。 二 前記一について、濫用的通報者の通報と真に対応が必要な通報の見分け方を政府は示しているか。示していない場合、示すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 三 前記一について、濫用的通報者の通報に関して、事業者、行政機関及び外部通報を受けた者はどのように対応すべきか示されたい。 四 濫用的通報者の通報と真に対応が必要な通報の判断基準を示されたい。また、濫用的通報者による通報の判断基準は法令又は指針等に明記すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 五 前記四について、濫用的通報者の通報である場合において、通報を受けた者が採るべき対応に係る政府の見解を示されたい。 六 匿名の通報の場合、事業者の事業を妨害する目的で内外部いずれからも濫用的通報が行われるおそれがあると考えられるが、事業者が濫用的通報者の通報であると判断した場合は、通報者の探索は認められるか示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |