質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第七五号

混合診療の解禁に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年三月二十八日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   混合診療の解禁に関する質問主意書

 我が国の医療保険制度上、混合診療については、法律上禁止する明文規定はないが、健康保険法第八十六条の反対解釈により事実上禁止されていると解されている。しかしながら、ドラッグラグ(海外で承認されている薬が日本で承認されて使用できるようになるまでの時間差)等の課題を背景として、先進医療など一部は保険外併用療養として認められている状況にある。

 一方で、混合診療の解禁に対する懸念として安全性・有効性の確保が挙げられているが、現行の保険診療において、安全性・有効性が十分に確保されていない医療が含まれている実態がある。そのため、混合診療の解禁を進めることが医療アクセスの改善につながるとの観点から、以下質問する。

一 混合診療については、法律上明示的な禁止規定はないが、健康保険法第八十六条の反対解釈により禁止されていると解されている。混合診療の禁止に係る法的根拠及びその解釈を具体的に示されたい。

二 保険診療と先進医療などの保険外診療との併用は一部認められているが、その範囲が限定的であることから、医療アクセスの悪化を招いている。

1 現在認められている保険外併用療養について、全て示されたい。

2 前記1の対象範囲を拡大する等、混合診療を解禁することで、より多くの患者が必要な医療を受けられるようにすべきと考えるが、政府の見解を理由と併せて示されたい。

三 混合診療の解禁の懸念点の一つであり、禁止の根拠となっている「安全性・有効性の確保」について質問する。

1 混合診療の禁止の根拠の一つに、安全性・有効性の確保が挙げられていると思料するが、政府の見解と相違はないか。

2 保険診療の中にも安全性・有効性が十分に確保されていない医療が含まれているとの指摘があるが、この指摘について政府の見解を示されたい。

3 現在の保険診療において安全性又は有効性が十分に確保されていない医療であると政府が認識しているものがあれば、当該医療をその理由と併せて全て示されたい。

4 保険外診療において、安全性・有効性が確保されていない医療を示されたい。また、安全性・有効性が確保されていないにもかかわらず、当該医療行為が認められている根拠を示されたい。

5 安全性・有効性が確保されていない医療については、混合診療を認めた上で、保険診療から段階的に除外していくべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 混合診療の解禁の懸念点の一つであり、禁止の根拠となっている「医療の質や公平性が損なわれること」について質問する。

1 混合診療の禁止の根拠の一つに、医療の質や公平性が損なわれることが挙げられていると思料するが、政府の見解と相違はないか。

2 前記四の1について、実際にそのような問題が生じる具体的な事例や統計調査資料はあるか。ある場合は、全て示されたい。また、適切な規制を設けることで、これらの懸念を解消できる可能性があると思料するが、政府の見解を示されたい。

五 公定価格の枠内において、医師の指名料などの増収余地を持たせるべきではないか。このような制度改正により、医療機関の経営基盤を強化し、より質の高い医療の提供を促進することが可能となると考えられるが、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。