質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第七三号

東京都が委託団体からの国庫補助金の一部「返還」を「納入」と表現していること等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年三月二十八日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   東京都が委託団体からの国庫補助金の一部「返還」を「納入」と表現していること等に関する質問主意書

 若年被害女性等支援事業の補助事業者である東京都が、東京都民である水原清晃氏(以下、通称名の「暇空茜氏」という。)から住民訴訟を起こされ、現在、国庫補助金を含めた公金の使途について係争中である。当該住民訴訟は公金の使途という多くの国民が高く関心を寄せる案件であること等から、暇空茜氏は被告である東京都から提出された書類や主張書面等を適宜開示している。そのうち、令和六年十二月九日に暇空茜氏のSNSにおいて開示された書類には、住民訴訟で争われている若年被害女性等支援事業の委託を東京都から受けた複数の団体が東京都に対してそれぞれ自主的に委託費の一部を納入したとの記載があった。事実確認のため、私の事務所から東京都へ確認を求めたところ、下記の回答があった。

1 自主的な納入に至った経緯

 委託団体から委託費で購入した備品の未償却残高の納入の申出があったため、納入についての覚書を委託団体と都で交わした後、未償却残高を東京都で算出し、それぞれの団体の未償却残高を納入することとなった。

2 納入の申出を受けた団体名、申出日、納入の申出を受けた後に東京都が各委託団体に示した納入額

 一般社団法人Colabo 申出日/令和六年十月十六日、納入額/六十五万三千七百五十二円

 特定非営利活動法人bondプロジェクト 申出日/令和六年九月十九日、納入額/九十七万五千七百四十九円

 特定非営利活動法人ぱっぷす 申出日/令和六年九月二十四日、納入額/七十五万四千五百八十円

 一般社団法人若草プロジェクト 申出日/令和六年十月九日、納入額/四十一万三千九百三十七円

 私の事務所に対する東京都の回答によれば、当該納入額については国へ納入する予定であり、当該納入は補助金適正化法上及び交付要綱等の返還義務に基づく返還ではないため、厚生労働省へ報告の義務はなく、東京都が自主的に「納入」すると主張している。また、委託団体から受けた納入は飽くまでも委託費の「返還」ではなく、「納入」であると主張している(以下「東京都の説明」という。)。この「納入額」の取扱いについて、以下質問する。

一 補助金適正化法上の補助事業者が当該補助事業の委託団体から委託費の一部の納入を受けることは、どのような法律行為に当たるか示されたい。

二 補助金適正化法上の補助事業者が一度交付要綱に基づいて当該国庫補助金を受けた後、その一部について、交付要綱に基づく返還ではなく、法令にも交付要綱にも何ら定めのない自主的な納入を行うことは、どのような法律行為に当たるか示されたい。

三 前記二について、補助事業者から補助金の一部を自主的に納入するとの申出があった場合、当該納入について国は納入を受け入れるか示されたい。また、受け入れる場合、当該納入額は納入後どのように取り扱われるか、根拠と併せて示されたい。

四 前記二について、これまで補助事業者から、返還の義務がないにもかかわらず自主的に補助金の一部が納入された事例はあるか。ある場合は、当該納入額、時期及びその概要を全て示されたい。

五 東京都の説明では、若年被害女性等支援事業の委託団体のうち、未償却残高の納入を申し出ていない団体については、納入を求めないとの説明があった。前記二について、何らかの法律行為に該当する場合、同じ条件下の補助事業に対する委託において、委託契約終了後、購入備品の未償却残高を納入する団体と納入しない団体が存在することは問題があると考えるが、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。