第217回国会(常会)
質問第六七号 診療報酬の付増請求等及び保険医療機関の支援に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年三月二十一日 塩村 あやか
参議院議長 関口 昌一 殿 診療報酬の付増請求等及び保険医療機関の支援に関する質問主意書 診療報酬の付増請求や架空請求、過剰診療(以下「診療報酬の付増請求等」という。)が行われている可能性がある。そのため、被保険者が診療報酬の付増請求等を受けたと感じた際に相談できる窓口が必要である。また、診療が過剰か否かをチェックする仕組みを設ける必要がある。特に、こどもの医療については、医療費助成により被保険者の自己負担がない地方公共団体もあり、診療報酬の付増請求等への意識が希薄になると懸念する。 医療費が無料の場合、被保険者に医療費の内容の分かる領収証及び個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書(以下「診療明細書等」という。)を渡す義務がない。そのため、診療報酬の付増請求等が行われやすく、フッ素塗布のみで高額な医療費が掛かっているなどの事例が生じている。また、必要性の乏しい抗菌薬の処方が増加することで薬剤耐性菌が発生するなど、健康への悪影響の懸念等も指摘されている。 国民一人一人が自らに掛かっている医療費を意識できるようにするため、医療費助成等により医療費が無料であったとしても、診療明細書等の発行を義務付けるべきである。また、診療報酬の付増請求等が行われる要因の一つである経営難に陥っている保険医療機関に対する支援が必要である。特に、物価高騰、人件費上昇等の影響が大きいと思われる都市部の病院に対しては、早急に支援を行うべきである。 以上を踏まえ、以下質問する。 一 令和六年度の厚生労働科学研究において、こどもの医療費助成が地方公共団体で導入されたことによる受診行動の変容や医療費の増減、抗菌薬処方への影響等について分析されたと承知しているが、研究成果を示されたい。また、こどもの医療費助成と過剰診療との相関関係の有無について政府の見解を示されたい。 二 診療報酬の付増請求等により、毎年度、保険医療機関等の指定取消等の事例があると承知している。保険医療機関等の指定取消等に係る端緒となった被保険者からの情報提供の件数及び指定取消処分全体の件数に占める割合を示されたい。 三 被保険者が診療報酬の付増請求等に気付いた際の厚生労働省(地方支分部局を含む。)の連絡先及びその周知方法(ホームページ掲載を除く。)を示されたい。また、厚生労働省は、被保険者が不正請求等に気付いた際には、当該連絡先に情報提供を行うよう啓発していくべきと考えるが政府の見解を示されたい。 四 診療が過剰か否かの確認はどのように行われているか示されたい。また、保険医療機関及び保険医療養担当規則第二十条の規定はどのように担保されているのか示されたい。 五 地方公共団体におけるこどもの医療費助成により、診療明細書等の被保険者への交付が義務付けられていない法的根拠を示されたい。診療明細書等の交付がなければ、被保険者が診療報酬の付増請求等に気付くことができないと思料する。これを防ぐため、保険医療機関に対し早急に、公費負担医療、地方単独医療費助成等により、自己負担のない被保険者への診療明細書等の交付を例外なく義務付けるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 六 診療明細書等のうち、個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書について、現在、個別の診療報酬点数等の算定項目が記載されたものとなっている。被保険者が自らに掛かっている医療費をより意識できるよう、それぞれの算定項目の金額が分かる記載に改めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 七 都市部の病院の経営悪化を支援するため、次期診療報酬改定において物価や賃上げによる影響等が自動的に反映される仕組みを導入すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 八 次期診療報酬改定を待たず、更なる補助金等による対応により、保険医療機関へ早急な支援を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |