質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第六一号

子ども・子育て支援金率の上限の妥当性等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年三月十八日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   子ども・子育て支援金率の上限の妥当性等に関する質問主意書

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)による改正後の健康保険法第百六十条の二第一項は、「子ども・子育て支援金率は、各年度において全ての保険者が納付すべき子ども・子育て支援納付金の総額を当該年度における全ての保険者が管掌する被保険者の総報酬額の総額の見込額で除した率を基礎として政令で定める率の範囲内において、保険者が定める」としている。また、改正法附則第四十九条は、「(中略)政令を定めようとするときは、附則第四十七条の規定の趣旨を考慮しなければならない」としている。つまり、現在、子ども・子育て支援金率の上限は法定化されておらず、政令で定めることとなっている。

 他方、こども家庭庁が令和五年十一月九日に開催した第一回「支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会」(以下「懇話会」という。)において、佐野構成員は「支援金に上限を設定することは、医療・介護のような自然増は当面考えにくいと思いますけれども、規模とか見通しが見えない中では上限設定は不可欠であると考えております。」と発言した。さらに、令和五年十二月十一日の第二回懇話会において、佐藤構成員は「支援金に係る上限の設定や若者の所得を増やす具体的な取組を示してほしい」と発言した。第二回懇話会の資料「支援金制度等の具体的設計について(素案)(概要)」の九頁には、「支援金制度は、二〇二六年度から開始して二〇二八年度までに段階的に構築することとする。あわせて、法律において、支援金制度は上述の実質的な社会保険負担軽減効果の範囲内で構築することや、二〇二八年度までの各年度の支援金総額、歳出改革(全世代型社会保障制度改革)の推進の基本的考え方など、必要な事項を規定する。」と記載されている。

 これらを踏まえて、以下質問する。

一 子ども・子育て支援金率の上限を設定すべきか、理由と併せて政府の見解を示されたい。

二 改正法附則第四十七条は、「加速化プラン実施施策(中略)を実施するために必要となる費用については、全世代型社会保障制度改革等を通じた国及び地方公共団体の歳出の抑制その他歳出の見直し、(中略)少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとされている消費税の収入、施行日新支援法第六十九条第一項に規定する拠出金の収入、加速化プラン実施施策に係る社会保険料の収入並びに施行日新支援法第七十一条の三第一項に規定する支援納付金対象費用(中略)に係る財源により賄う」と定めるとともに、子ども・子育て支援納付金の総額については、令和八年度はおおむね六千億円、令和九年度はおおむね八千億円、令和十年度はおおむね一兆円を目安とすると定めている。

1 支援法附則第四十七条に定めた令和八年度から令和十年度の目安額の算出根拠として、拠出項目及び金額の内訳をそれぞれ全て示されたい。

2 前記1について、算出根拠に子ども・子育て支援金の使途が含まれている場合、使途ごとに目的、成果目標、成果指標及び想定される事前の費用便益分析結果等を示されたい。把握していないものがある場合、その理由及び今後把握する予定があるか示されたい。

三 昨今、社会保障負担が高いという国民感情が高まっており、子ども・子育て支援金率の上限の設定や徴収金の使途に関する議論について、その成果が厳しく問われることは想像に難くない。また、改正法附則四十七条において、支援金制度は実質的な社会保険負担軽減効果の範囲内で構築する旨定められている。

1 社会保障負担の軽減効果は、何年度時点の負担と比較されるのか。比較対象の年度と金額を示されたい。また、軽減効果を計る当該年度の社会保障負担の推計を基点として用いる場合、その試算の前提条件をその理由と併せて全て示されたい。

2 前記三の1について、社会保障負担は何がどの程度軽減される計画か、その内訳とともに現時点の検討状況を示されたい。

3 前記三の1について、仮に令和十年度までに社会保障負担の軽減効果が十分に得られなかった場合は、子ども・子育て支援金率の上限の設定は見送るのか、政府の見解を示されたい。

4 改正法附則第四十七条に定めた令和八年度から令和十年度の財源について、社会保障負担の軽減効果が附則で定めた金額に満たない場合、当該年度の加速化プラン実施施策を実施するために必要となる費用は、社会保障負担の軽減効果を超えないように減額されるのか、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。