第217回国会(常会)
質問第五三号 政府の新型コロナウイルス感染症対策の検証に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年三月七日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 政府の新型コロナウイルス感染症対策の検証に関する質問主意書 私が第二百十六回国会に提出した「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議に係る政府の取組や進捗状況に関する質問主意書」(第二百十六回国会質問第二四号)に対する答弁(内閣参質二一六第二四号。以下「答弁二四号」という。)において、政府は、「「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(令和三年二月一日衆議院内閣委員会)の二十三において「国及び都道府県は、これまでの検査、保健所、医療提供体制の問題点を検証の上、今後の計画的な整備を図ること」とされていること及び二十六において「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する政府のこれまでの対応について、・・・第三者的立場から、客観的、科学的に検証し、その結果を公表すること」とされていること等も踏まえ、令和二年七月から現在までの間に、令和元年十二月末以降の新型コロナウイルス感染症への対応(以下「新型コロナ対応」という。)に関する資料等について、地方公共団体、医療関係団体、感染症に係る危機管理の専門家等を構成員又は委員とする「新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会」や「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という。)、「新型インフルエンザ等対策推進会議」(以下「推進会議」という。)等に提出し、これらの場において、当該資料等も踏まえつつ、経済団体等からのヒアリング等を含めて、新型コロナ対応における課題の整理等について議論が行われてきたところ、お尋ねの「「問題点を検証」した結果」及び「「第三者的立場から、客観的、科学的に検証し」た結果」については、令和四年六月十五日に有識者会議が取りまとめた「新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に向けた中長期的な課題について」や令和五年十二月十九日に推進会議が取りまとめた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定に向けた意見」等として公表されているとおりである。」と答弁している。 一 答弁二四号のとおり、「有識者会議」及び「推進会議」(以下「両会議」という。)がそれぞれ取りまとめた報告は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(令和三年二月一日衆議院内閣委員会)(以下「当該附帯決議」という。)の「二十六 令和二年五月の緊急事態解除宣言の時期の妥当性など、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する政府のこれまでの対応について、今後の政府の対応に活用するために、第三者的立場から、客観的、科学的に検証し、その結果を公表すること。」に応えたものであり、政府の公式見解として採用されているか示されたい。 二 当該附帯決議では「第三者的立場から、客観的、科学的に検証し、その結果を公表する」としているが、両会議は、新型コロナ対応の当事者であり、両会議の検証結果は「第三者的立場から」の検証という条件を満たしていないと思料する。当該附帯決議の要請に応じて、第三者的立場からの検証を改めて行い、政府として公式な検証結果を国民に対して公表する必要があると考えるが政府の見解を示されたい。 三 政府として両会議の検証及び報告が当該附帯決議の要請を満たしていると考えている場合、その根拠を示されたい。 四 有識者会議が令和四年六月十五日に公表した「新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に向けた中長期的な課題について」(以下「同報告書」という。)に関して、以下質問する。 1 パンデミックが収束し、新型コロナウイルス感染症が令和五年五月に五類感染症に指定されたことに鑑みると、一連の新型コロナウイルス感染症対策(以下「新型コロナ対策」という。)に係る検証は令和二年二月から令和五年五月までを対象として行うべきと思料する。しかし、同報告書は、パンデミック収束前に取りまとめられたものであり、当該附帯決議に対する政府の検証結果とするには必要な条件を満たしていないと思料するが政府の見解を示されたい。 2 コロナ禍の経済への影響について、同報告書では「これまでの経済動向を実質GDPの動きで概観すると、最初の緊急事態宣言を行った二〇二〇年四―六月期に大きく落ち込んだものの、足下の二〇二二年一―三月期では感染症発生前(二〇一九年十月―十二月期)と概ね同水準となっている。」としている。 (1) 同報告書では、令和二年四―六月期と令和四年一―三月期のみを比較しているが、パンデミック対策は令和二年二月から令和五年五月まで続けられた。政府は、改めて一連の新型コロナ対策による経済活動への影響を、令和二年二月から令和五年五月までの期間にわたって検証するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 (2) 同報告書では、実質GDPというマクロ経済指標を検証に用いているが、実質GDPによる比較のみでは、新型コロナ対策の経済活動への影響の実態を検証、評価しているとは言えないと思料する。事業ごと、業種ごと、地域ごとに定性分析を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 3 同報告書の「特措法に基づく要請を行う場合は、私権の制限につながるものであることから、要請の目的と手段に合理性が必要である。」、「都道府県知事が行う様々な要請について、要請の名の下に、事実上の私権制限が行われたのではないか。」との記述について、以下質問する。 (1) 前記記述は、どの委員からの指摘を踏まえたものであるか示されたい。 (2) 「特措法に基づく要請」及び「都道府県知事が行う様々な要請」について、どのような要請を私権の制限だと指摘しているのか具体的に示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |