質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第五二号

団塊の世代が後期高齢者となることで介護保険料負担が劇的に増加し現役世代を大きく苦しめる可能性等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年三月七日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   団塊の世代が後期高齢者となることで介護保険料負担が劇的に増加し現役世代を大きく苦しめる可能性等に関する質問主意書

 社会保障負担が高いという民意が高まっている昨今、社会保険料の一つである介護保険料に対し、国民からの関心が特に高く寄せられている。介護保険制度では、四十歳以上六十五歳未満の第二号被保険者の保険料は医療保険料と一体的に徴収され、被保険者が被用者保険に加入している場合、全国健康保険協会(協会けんぽ)や各健康保険組合等の保険者が介護保険料率を設定する。また、六十五歳以上の高齢者を対象としている第一号被保険者の保険料は、市町村ごとに決定される。しかし、介護保険料及び保険料率には法律上の明確な上限が存在しないとの指摘がある。

 介護保険制度については、今後少子高齢化の進行が予測されることから、財政負担が更に増加することが予測されている。特に、令和七年には「団塊の世代」が七十五歳以上の後期高齢者となり、介護サービスの利用者数が増加することで、介護給付費の急増は避けられないと推測される。政府の試算では、令和六年度予算で総額約十三兆円となっている介護給付費は、令和二十二年には約二十六兆円と倍増する見込みであるとされている。これに伴う介護保険料及び保険料率の急増は、国民負担率を更に高くするとともに、今後現役世代を苦しめるばかりでなく、介護保険制度の持続可能性に深刻な影響を及ぼすおそれもある。介護保険財政を適正に維持するためには、介護保険料及び保険料率の上限設定や、介護給付費の抑制策を講ずることが不可欠ではないかと思料する。

 例えば、介護保険料及び保険料率の上限を法定化し、被保険者の負担に歯止めを掛けることや、ケアマネジメントの適正化、予防介護の強化等、介護サービスの適正な見直しにより給付費の増加を抑制すること、国費の投入を増やし、介護保険料及び保険料率の上昇を抑えること等の施策の検討が急務であると考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 介護保険料及び保険料率の上限は法定化されているか。法定化されている場合はその根拠となる法令及び法定化されている上限の概要を、法定化されていない場合はその理由を示されたい。

二 前記一について、介護保険料及び保険料率の上限が法定化されていない場合、現役世代の負担及び経済的悪影響を勘案して上限を法定化すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 政府が推計している介護給付費の将来予測について、今後二十年における、年度ごとの推計総額を示されたい。

四 前記三について、介護給付費の増加と連動して、介護保険料及び保険料率も上昇し続けるのか政府の見解を示されたい。また、介護給付費の増加と連動して、介護保険料及び保険料率が上昇するとの見解の場合、当該見解に併せて、前記二で推計した年度ごとに、介護保険料及び保険料率がどの程度上昇するのか示されたい。

五 政府が現在実施している介護給付費の増加の抑制に係る施策を全て示されたい。また、介護給付費の増加の抑制に係る施策を実施していない場合、直ちに行うべきと考えるが政府の見解を示されたい。

六 前記五について、介護給付費の増加の抑制として、特に、要介護認定の厳格化、在宅介護の推進、介護サービスの適正化などについては、実施していないのであれば直ちに実施すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

七 介護給付費の抑制について、政府の今後の方針を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。