質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第四九号

台湾総統の就任式に際して中国総領事から国内の地方自治体及び地方議員に対して届いた要望に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年二月二十八日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   台湾総統の就任式に際して中国総領事から国内の地方自治体及び地方議員に対して届いた要望に関する質問主意書

 令和六年六月十八日の神戸市会総務財政委員会において、以下のとおり質疑応答があった。

○上畠寛弘議員「五月二十日に台湾の総統就任式がございましたけれども、その総統就任式に当たって、神戸市市長室宛てにファクスで、職員やまた議員に対して、総統就任式に出席させるなというような要望等が実際にファクスで中国総領事館から届いたというふうに聞いております。この点についての事実確認をしたいんですけれども、いかがでしょうか。」

○岡本康憲市長室長「御指摘のファクスといいますか、五月十二日付で、中国の駐大阪総領事より市長宛てに、台湾問題に関する中国側の立場を紹介するという旨でファクスが我々のほうに届いてございました。受け取ったのは五月の十三日になってございます。」

○上畠議員「その中に議員の言及とかもあったということですか。」

○岡本市長室長「いわゆる頼清徳氏の就任式に出席せずというような旨が、自治体幹部、あるいは議員に対してということで、コメントとしてその文面に書いてございました。」

○上畠議員「私自身は出席、参列いたしましたけれども、そんなこと言われる筋合いはないということで終わらせていただきます。以上です。」

 神戸市に文書が届いた五月十三日時点における在大阪中華人民共和国総領事館の総領事は薛剣氏である。外交官・総領事という立場をわきまえない同氏の振る舞いは断じて許されるものではない。

 これらを踏まえて、以下質問する。

一 薛剣総領事が「頼清徳氏の就任式に出席せず」といった旨の文書を神戸市の市長・市会議員・幹部職員宛に送付したことについて、政府は把握しているか示されたい。また、日本に駐在する他国の外交官が、地方自治体や地方議員の台湾との交流や台湾への訪問に対して、直接、中止を要請するという行為について、岩屋毅外務大臣を始め政府は許容するのか、見解を示されたい。

二 前記事案を踏まえ、薛剣総領事に対し、ペルソナ・ノン・グラータであることを通告するべきと考えるが、岩屋毅外務大臣の見解を示されたい。

三 昭和四十七年の日中共同声明では、台湾の位置付けについて、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」とあるが、地方自治体や首長、地方議会及び地方議会議員においても日中共同声明の文中にある「中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重」する法的義務はあるのか示されたい。

四 平成二十八年に飯島勲内閣官房参与が蔡英文氏の総統就任式出席のため、台湾を訪問したことについては高く評価する。同氏が台湾訪問の際に使用した旅券は公用旅券、外交旅券のいずれであったか示されたい。また、内閣官房参与の台湾訪問について、政府は今後も内閣官房参与の立場を尊重するのか。政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。