質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第四四号

公立病院への繰出金の根拠と公平性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年二月二十七日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   公立病院への繰出金の根拠と公平性に関する質問主意書

 公立病院を対象とした地方公営企業繰出金については、以前から多額の支出が問題視されている。公立病院の果たすべき役割は重要である一方、民間病院と比較して診療機能に大きな差異がないにもかかわらず、公立病院が繰出金において約八千億円もの財政的な支援を受けていることに対して、民間病院から「イコールフッティングではない」との批判が見受けられる。

 加えて、基準外繰出金の存在も含め、繰出金の繰出基準は極めて曖昧であり、定性的なものとなっている。そのため、繰出金が実質的な公立病院の赤字補填の財源となっている中で、公立病院の放漫経営の原因になっている可能性は極めて高い。病院が乱立し、非効率な医療提供体制となっている中で、病院の廃止や民営化を含め、地域における役割の見直しや明確化が求められている。公立病院への繰出金の法的根拠及び必要性について明確な説明が求められるとともに、公立病院と民間病院の競争環境を適正に保つための施策についても、政府の方針を明らかにすべきである。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 繰出金の法的根拠と財政的影響について

1 公立病院への繰出金の法的根拠について、政府の見解を示されたい。

2 公立病院への繰出金について、直近十年の総額の推移及び一施設当たりの金額の推移を示されたい。また、それぞれの金額の推移について、政府の受け止め及び見解を示されたい。

二 公立病院と民間病院の競争条件の公平性について

1 公立病院と民間病院は、患者に対し医療を提供するという点で同じ役割を持つにもかかわらず、公立病院に対しては地方公営企業繰出金の支出がある。民間病院から規制と優遇の公平性に鑑み、「イコールフッティングではない」との批判があることについて、政府は把握しているか。政府の把握状況及び当該批判に対する見解を示されたい。

2 前記1の批判について、公立病院と民間病院の競争を適正化するため、政府はどのような政策を講じているか示されたい。

三 政府の財政支援の透明性について

1 公立病院に対する財政支援の透明性を高めるために、政府が講じている施策について具体的に説明されたい。

2 繰出基準は、地方公営企業法第十七条の二第一項第二号、同法施行令第八条の五第二項第二号及び地方公営企業繰出金に係る総務副大臣通知において定められているが、いずれも明確な基準ではなく、定性的であることから、繰出しに係る費用の便益分析も困難であると思科する。政府は繰出基準について問題意識を有しているか。また、繰出基準は、公立病院の役割に基づいた定量的な基準を置くなど明確化すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 今後の政策方針について

1 公立病院と民間病院のそれぞれの役割を示されたい。また、公平な競争環境を確保するために、政府が認識している問題意識及びそれに対する今後の方針を示されたい。

2 不必要な繰出金の削減に向けて、調査又は見直し等、何らかの対応を講ずる予定はあるか。ある場合は検討状況も含めて、詳細を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。