質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第四三号

休眠預金等活用法上の資金分配団体であるグッドネーバーズ・ジャパンに寄せられた寄附金の大半が事業そのものではなくプロモーション費用に充てられている実態に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年二月二十七日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   休眠預金等活用法上の資金分配団体であるグッドネーバーズ・ジャパンに寄せられた寄附金の大半が事業そのものではなくプロモーション費用に充てられている実態に関する質問主意書

 民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律に基づき行われる休眠預金活用事業のうち、二〇二四年度物価高騰及び子育て対応支援枠「随時・三次」において、認定特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパン(以下「グッドネーバーズ・ジャパン」という。)が「食品支援を基盤にした困窮世帯の子どもの体験格差是正のための資金分配事業」を行う団体として選定され、約一・二四億円の助成が予定されている。

 グッドネーバーズ・ジャパンは日本国内向けのフラッグシップ事業として、二〇一七年九月から子どもの貧困対策事業である国内のひとり親世帯への食品配付「グッドごはん」を行っている。当該法人の事業報告書によると「困難な生活環境にある子ども達およびその家族のための支援事業(国内)」等の受取寄附金額は二〇二〇年度から二〇二三年度までの四か年で約十四・七億円である。その寄附金に対応する同期間の支出について、プロモーション目的の支出だと思われる同事業の広報啓発活動費・告知活動費・活動周知費を見ると約十一億円である。つまり、寄附金の大半がプロモーション費用として使われている可能性が高いことが推察できる(以下「グッドネーバーズ・ジャパンの寄附金の使途」という。)。

 特定非営利活動促進法(以下「NPO法」という。)第三十条では、「所轄庁は、特定非営利活動法人から提出を受けた事業報告書等(中略)、役員名簿又は定款等について閲覧又は謄写の請求があったときは、(中略)これらの書類(中略)を閲覧させ、又は謄写させなければならない。」と定めている。これらを踏まえて、以下質問する。

一 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(以下「不当寄附勧誘防止法」という。)第三条第三項では「寄附の勧誘を受ける個人に対し、(中略)寄附される財産の使途について誤認させるおそれがないようにすること。」と定めている。グッドネーバーズ・ジャパンが行っている広告の内容は、子どもの映像と合わせて「年末は食べ物がない 困窮するひとり親家庭」「給食のない夏休み 毎日お腹が空いています。」という記載が見られる等、困窮世帯を対象として支援を実施している団体であることを強くアピールしている。このような広告を見て寄附を行った者は、寄附金の大半がプロモーション費用に充てられているという実態を把握していないのではないかと推察する。一般論として、グッドネーバーズ・ジャパンの寄附金の使途のように、寄附を募集する際に告知した団体の支援事業そのものに寄附金を充てるのではなく、団体のプロモーション費用に寄附金の大半を充てることは、不当寄附勧誘防止法に抵触する可能性はあるか政府の見解を示されたい。

二 グッドネーバーズ・ジャパンの二〇二三年度の事業報告書及び付随する役員報酬規程等の提出書類によると、活動周知費約五・〇億円に近似する約四・九億円が、「役員、社員、職員若しくは寄附者又はこれらの者の親族等」へマーケティングコンサルティング料として支出されている。この金額は当該法人が二〇二三年度の当該事業で得た寄附金約五・五億円の約八九・五%に当たる膨大な金額であるため、同法人の寄附金の使途の適切性を確認する上で重要な情報である。しかし、グッドネーバーズ・ジャパンの事業報告書等を公開している東京都のホームページ上では当該支出先はマスキングされ閲覧ができず、NPO法で期待されている市民のチェック等に基づく自浄作用の妨げになっている。所轄庁である東京都が寄附金の使途のために必要な情報をマスキングしていることはNPO法の趣旨に反すると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 前記一及び二について、公表された資料に疑義が生じるような法人を資金分配団体に選定した一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)における資金分配団体の選定に係る審査はより厳格にすべきと思科するが、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。