第217回国会(常会)
質問第四一号 選択的夫婦別姓の代替としての通称使用拡大では海外渡航時における不便さが解消できないことに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年二月二十一日 石垣 のりこ
参議院議長 関口 昌一 殿 選択的夫婦別姓の代替としての通称使用拡大では海外渡航時における不便さが解消できないことに関する質問主意書 選択的夫婦別姓の制度導入に反対する自民党の議員グループは、結婚前の旧姓の通称使用を拡大することを提案している。現在、職場での通称使用が一般的になり、公的書類においても通称併記が行われているため、通称使用を拡大する余地はそれほど多くないと考える。また、国内において通称使用を今以上に拡大することは可能だとしても、海外において国内と同じように通称使用を拡大することは困難だと考える。 現在、旅券については、旧姓や別姓を括弧書きで別名併記することが可能になっている。しかし、別名は可視検査領域(VIZ)にのみ表示され、機械読取領域(MRZ)に表示されず、旅券のICチップにも記載されない。そのため、査証や航空券は戸籍名で取得する必要があり、通称では取得できない。 また、渡航先国での入国審査では、旅券のICチップ及びMRZに記録されている氏名、査証(米国のESTA等を含む)に記載された氏名、航空券に記載された氏名が照合され得る。旅券に通称の記載があることについて、渡航先国の出入国管理当局等から説明を求められる場合には、旅券の所持人が旅券に併記された通称について説明する必要がある。 以上のように、国内で通称使用が拡大したとしても、海外に行く際の航空券の手配や査証の取得、渡航先での入国審査における不便さは解消できないと考える。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 国内で通称使用を拡大することが決定しても、旅券についてはICAO(国際民間航空機関)文書に準拠して作成されるため、MRZで旧姓、別姓を表示することは不可能だと考えるが政府の見解を示されたい。同様に、旅券のICチップの記載についても別名併記できないと考えるが政府の見解を示されたい。 二 渡航先の入国審査において通称を使用できる余地はあるのか政府の見解を示されたい。 三 通称で航空券の予約や査証を取得できるのか政府の見解を示されたい。 四 国内での通称使用を拡大したとしても、旅券の記載事項は現状から変わることはないのか示されたい。また、渡航先での入国審査については現状どおりで変更の余地はないと考えるが政府の見解を示されたい。 右質問する。 |