質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第三一号

一部の医療機関でMRワクチンが不足していることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年二月十四日

石垣 のりこ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   一部の医療機関でMRワクチンが不足していることに関する質問主意書

 麻しん(はしか)と風しんを防ぐ混合ワクチン(以下「MRワクチン」という。)については、一歳児と小学校入学前の五・六歳児を対象に定期接種が行われている。また、風しんワクチンについては、定期接種の機会がなかった昭和三十七年四月二日から昭和五十四年四月一日までの間に生まれた男性(以下「対象世代の男性」という。)の抗体保有率が低いことから、令和七年三月末を期限として予防接種等の対策が講じられている(以下「追加的対策」という。)。

 NHKは令和七年二月十日、日本小児科医会が令和七年一月に調査したところ、希望した量のMRワクチンを入手できていない医師が半数近くに上り、定期接種の予約を制限・中止している医療機関も出てきていると報じた。MRワクチンの定期接種が進まず、接種率が下がると、麻しん(はしか)や風しんの感染が拡大するおそれもあることから、MRワクチンの安定供給は公衆衛生上、非常に重要である。

 厚生労働省は、一部の地域や医療機関においてMRワクチンが不足している理由は、流通面での問題が原因の可能性があるとして調査を始めているようだが、このような事態は今年になり突然生じたことではない。衆議院において「麻しん(はしか)の予防接種及びMRワクチンの供給状況に関する質問主意書」(第百九十二回国会質問第一一号)が提出されていることからも分かるように、平成二十八年にも一部の医療機関においてMRワクチン不足が指摘される事態が発生していた。令和七年においても、MRワクチンが不足している状況を鑑みると、平成二十八年から進歩がないように思われる。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 一部の医療機関において、MRワクチンの定期接種の予約を制限・中止するほど供給が不足している事態について、政府はその原因をどのように分析しているのか明らかにされたい。

二 衆議院において前記質問主意書が提出された平成二十八年当時も流通面での問題がMRワクチンの地域偏在に影響していると考えられていた。平成二十八年から今日に至るまでの間、MRワクチンの安定供給のために流通面でどのような対策が講じられてきたのか明らかにされたい。

三 現在、国内でMRワクチンを製造している会社は三社しかない。製品の有効性が基準を下回るなどの理由で製造が滞る場合に、供給量を維持するための対応方針や施策をあらかじめ決めておく必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 政府は、追加的対策の実施に当たり、対象世代の男性の風しんの抗体保有率を令和四年十二月までに八十五パーセントに、令和六年度末までに九十パーセントにそれぞれ引き上げることを目標としているが、令和四年十二月末時点及び令和六年十二月末時点の抗体保有率をそれぞれ明らかにされたい。また、令和六年度末までに目標の九十パーセントを達成できなかった場合、更なる追加的対策を行う必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。