質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第三〇号

終末期医療に関するガイドライン及び事前指示書の法的拘束力に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年二月十三日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   終末期医療に関するガイドライン及び事前指示書の法的拘束力に関する質問主意書

 厚生労働省は「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(以下「終末期医療に関するガイドライン」という。)を策定しているが、諸外国と比較すると具体性を欠き、医療現場における判断基準が曖昧であるとの指摘がある。また、厚生労働省の調査においても、より詳細なガイドラインの策定を求める声が寄せられている。

 加えて、日本においては、諸外国とは異なり、事前指示書(Advance Directive)に法的拘束力が認められておらず、医療従事者が人工呼吸器を取り外す行為は刑法に抵触する可能性があるため、終末期において延命治療の中止を望む患者の意思が尊重されない事例が発生している。

 このような状況は、患者の自己決定権を尊重する観点、また、医療従事者の適切な判断及び行動を確保する観点からも重大な問題であり、政府は、終末期医療に関するガイドラインにおける判断基準の具体化及び事前指示書への法的拘束力の付与について検討すべきと考える。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 現行の終末期医療に関するガイドラインは、医療現場における判断基準として具体的とは言えないと考える。より詳細かつ実践的なガイドラインを策定する考えはあるか示されたい。

二 事前指示書が法的拘束力を有しないことにより、患者の意思が十分に尊重されない事例が発生している。政府は事前指示書に法的拘束力を持たせる方向での法整備を検討する考えがあるか示されたい。

三 人工呼吸器を取り外す行為が刑法に抵触する可能性があるため、医療従事者が延命措置の中止を判断することが困難となっている。政府は、人工呼吸器の取り外しに関する法的問題点を解決する考えがあるか示されたい。

四 終末期における患者の意思決定を支援するためには、患者・家族・医療従事者が事前に話合いを行うアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の推進が不可欠である。ACPをより一層普及、促進させるため、政府は具体的な施策を検討しているか示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。