質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第二八号

政府備蓄米の放出及び低所得世帯等に対する無料交付に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年二月十三日

山本 太郎


       参議院議長 関口 昌一 殿



   政府備蓄米の放出及び低所得世帯等に対する無料交付に関する質問主意書

 令和七年一月二十九日の参議院本会議において、私は物価高などの影響で米の買えない低所得世帯が多いことを指摘し、「政府備蓄米、適正水準約百万トン。貧困の子供に必要な米十万トンはその一割。お米が食べられない子供のため、お米に手が届かない世帯のため、もう二割、備蓄米出してくださいよ」と求めた。この要求に対して農林水産大臣は以下のように答弁した。

「政府備蓄米につきましては、食糧法第四十九条及び同法施行令第十五条に基づき、教育の用に供しようとする場合に交付を行うことができるというふうにされております。

これを踏まえまして、食育の一環として、子供食堂、子供宅食に対して無償交付いたしております。先ほど議員もお述べになっておりますが、令和五年につきましては百四十トン、令和六年度については現時点で二百四十二トンを交付いたしております。これに加えまして、今後、対象を子供に限らず、食育活動に取り組むフードバンクに対しましても、備蓄運営に支障がない範囲の数量で政府備蓄米を交付することといたしております。」

 また、令和七年一月三十一日、農林水産大臣の諮問機関である食料・農業・農村政策審議会の食糧部会において、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(以下「食糧法」という。)に基づく「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」の変更案が了承された。この指針変更について、読売新聞は同日、「農林水産省は三十一日、放出するのを凶作時などに限定していた備蓄米制度の運用方針を見直し、円滑な流通に支障が出た場合でも放出できるようにした。」と報じた。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 政府は令和六年以降、米価格高騰の影響で「米を買えなかった」又は「米を買う回数を減らした」世帯の数及び割合を調査しているか。また、そのうち子育て世帯の数及び割合を調査しているか。調査していない場合、早急に調査するべきと考えるが政府の見解を示されたい。

二 政府備蓄米を交付する対象について、食育活動を行う団体に限定せず、広く低所得世帯に政府備蓄米を無料交付するべきと考えるが政府の見解を示されたい。また、このように広く低所得世帯に政府備蓄米を無料交付することを禁止又は制限する法令の規定があれば、その内容を示されたい。

三 政府備蓄米を低所得世帯の児童に無料交付することは、子供の健康な食生活習慣を育む意味で食糧法施行令第十五条に定める「教育の用に供しようとする場合」に該当すると考えるが政府の見解を示されたい。

四 高齢世帯を含む低所得世帯に政府備蓄米を無料交付することは、国民の健康な食生活を育む意味で食糧法施行令第十五条が定める「教育の用に供しようとする場合」に該当すると考えるが政府の見解を示されたい。

五 総務省統計局の「小売物価統計調査(動向編)」によれば、例えば、佐世保市における「うるち米(単一原料米、「コシヒカリ」)一袋・五キログラム」の小売価格は、令和六年七月には二千三百五十四円であったが、同年八月には三千三百五十三円になっている。小売店で米が不足し、五キログラム当たりの米の小売価格が一カ月で千円程度上昇するような場合は「円滑な流通に支障が出た場合」に該当すると認め、政府備蓄米を放出することが適当と考えるが政府の見解を示されたい。

  右質問する。