第217回国会(常会)
質問第二七号 消費税負担が事業者の資金繰りを悪化させ倒産の要因となっている可能性等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年二月十三日 山本 太郎
参議院議長 関口 昌一 殿 消費税負担が事業者の資金繰りを悪化させ倒産の要因となっている可能性等に関する質問主意書 二〇二五年一月二十九日の参議院本会議において、私は「消費税滞納で倒産した企業の件数、それぞれ消費税滞納額と総額は。政府は把握してない、調査してないから。企業倒産の要因として消費税負担の影響を調査すべきです。やりますか。」と求めた。その要求に対して財務大臣は以下のように答弁した。 「消費税の滞納が要因となって倒産した企業の件数、個々の滞納額やそれらの総額について、国税当局において独自の調査や把握は行っておりません。」 「消費税負担の影響を倒産の主要因として捉えることは難しいと思料され、その影響に特化した調査を実施することは考えておりません。」 しかし、民間事業者団体が実施したアンケート結果は、増税やインボイス導入後に消費税額が価格転嫁できず資金繰りに苦しむ事業者の実態を伝えている。例えば、全国商工団体連合会(全商連)が二〇一九年十二月以降に実施した消費税十%の影響に関する「緊急消費税アンケート」によれば、消費税の転嫁状況について「全くできていない」が六・八%、「ほぼできていない」が九・六%、「一部しかできていない」が二十一・九%であり、合わせて三十八・三%が完全には転嫁できていなかった。また、「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が、事業主や会社員計七千人を対象に二〇二四年三月二十二日から四月五日にかけて実施したアンケート結果では、インボイス登録事業者の六割超が消費税や事務負担の費用を価格転嫁できず「身を削って補填」したこと、借入れして消費税を納税した事業者が二百人を超えたことが明らかになった。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 前記の全商連によるアンケート結果では、約四割の事業者が完全には消費税を価格転嫁できていないと示されている。また、前記の「インボイス制度を考えるフリーランスの会」によるアンケート結果では、約六割の事業者が消費税や事務負担の費用を価格転嫁できていないと示されている。これらのアンケート結果に対する政府の見解を示されたい。 二 前記の民間事業者団体によるアンケート結果を踏まえると、消費税負担が事業者の資金繰りに悪影響を与えていると考えられるが政府の見解を示されたい。 三 経済産業省が公表した「消費税の転嫁状況に関するサンプル調査の結果について」(二〇二三年七月調査)によれば、消費税の引上げに関する転嫁の状況について「全く転嫁できていない」と回答した事業者は一・八%、「一部転嫁できている」と答えた事業者は三・六%にとどまる。前記の民間事業者団体が実施したアンケート結果と経済産業省が実施したサンプル調査の結果とでは、消費税の価格転嫁状況を示す数字が大きく乖離している。このような乖離が生じる理由について政府の見解を示されたい。 四 民間事業者の消費税負担について調査してきた民間事業者団体の意見を取り入れて調査項目を設計し、政府が主導して消費税負担が企業の資金繰りや倒産に与える影響について調査すべきと考えるが政府の見解を示されたい。 右質問する。 |