第217回国会(常会)
質問第一三号 孤立や孤独を防ぐための環境整備に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年一月三十一日 齊藤 健一郎
参議院議長 関口 昌一 殿 孤立や孤独を防ぐための環境整備に関する質問主意書 二〇二四年十一月十二日、国立社会保障・人口問題研究所は「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」を公表した。二〇二〇年の国勢調査を基に、二〇五〇年までの三十年間について将来推計が行われた。当該推計によると、二〇五〇年には、半数近い都道府県で五十%以上の世帯が六十五歳以上の世帯主となり、三分の二の都道府県で五世帯に一世帯が六十五歳以上の単独世帯(高齢者一人暮らし)になるとの将来像が示された。また、三十年間で六十五歳以上の独居率は男性が十六・四%から二十六・一%に、女性が二十三・六%から二十九・三%に増加する。同期間に、高齢単独世帯に占める未婚者の割合は、男性が三十三・七%から五十九・七%へ、女性が十一・九%から三十・二%へと上昇する。生涯に一度も結婚していない未婚者の比率が急増すること、また、高齢になれば兄弟姉妹数も減少していくことから、今後、配偶者、子ども及び近親者のいない単身高齢者の急増が想定される。特に男性の高齢単独世帯化が大きく進み、老後の生活を家族や親族に頼ることが困難になる層が確実に増加することを当該推計は示している。 当該推計から、孤立や孤独は切実な問題であり、身寄りのない高齢者が一人暮らしでも安心できるような支援態勢を構築することが急務であることが読み取れる。 以上を踏まえて、社会全体で孤立や孤独を防ぐ環境整備について、以下質問する。 一 高齢者は、通院したり医師の説明を理解したりすることが困難になる場合がある。医療機関への移動支援・通院同行がセットになったサービスの導入や、通院できない高齢者向けに、オンライン診療や薬の宅配を組み合わせた仕組みの拡充など急ぐべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 二 入院や介護施設入所時は、身元保証人が必要とされるケースが一般的であるため、家族や親族がいない場合に困難が生じる。行政が保証を引き受ける公的な身元保証制度を導入し、身元保証人不在の高齢者が安心して入院・入所できる体制を整備すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 三 死亡後の手続や財産整理を引き受ける人がいないケースが年々増えている。「死後事務委任契約」や「成年後見制度」に加えて、行政が死亡後の手続や財産整理などを一定範囲で代行する公的支援制度の導入を検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |