質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第一〇号

税収弾性値の算出に用いる計算式等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年一月二十四日

柳ヶ瀬 裕文


       参議院議長 関口 昌一 殿



   税収弾性値の算出に用いる計算式等に関する質問主意書

 政府は、毎年の予算提出に際し、当年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算を示している。この試算は幾つかの前提を置いたものであるが、後年度の税収については、当年度の税収、名目経済成長率及び弾性値一・一の積から、当年度の税制改正の影響等を調整して推計している。この弾性値(以下「税収弾性値」という。)につき、以下質問する。

一 「令和六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」における税収弾性値の算出過程で実際に用いた各年度の税収(税制改正の影響等を調整済みのもの)及び名目GDPの値を示されたい。

二 税収弾性値を後年度歳出・歳入への影響試算に用いる目的について、政府は、中期的な税収見通しを機械的に試算するため、名目経済成長率と税収弾性値を用いて「後年度の税収」を算出していると承知しているが、間違いはないか。

三 中期的な税収見通しの「中期」とは、何年間であるか。

四 昭和五十六年四月二十一日の参議院大蔵委員会において、政府は「租税弾性値につきましては、過去十年間四十五年度から五十四年度までの平均税収弾性値を使っております。」と答弁している。税収弾性値一・一の算出に用いた期間については、「過去十年間である昭和四十五年度から五十四年度まで」で間違いはないか。

五 昭和六十年三月八日の参議院大蔵委員会において、政府は「十年間でならしますとそんなに大きくぶれないということは、やはり経済の循環局面を一わたり通りました後の時点におきます中長期的な税収の動きを的確に反映している一つの指標ではなかろうかということでございます。」と答弁している。税収弾性値の算出に過去十年間の平均を用いてきた理由は、前記答弁のとおりであると承知しているが、間違いはないか。

六 「令和六年度予算の後年度歳入・歳出への影響試算」における税収弾性値について、算出した日付は令和六年一月三十日であり、その計算式は、(昭和五十一年度~令和元年度までの一般会計税収の前年度比の幾何平均値)/(昭和五十一年度~令和元年度までの名目GDPの前年度比の幾何平均値)、つまり四十四年間の平均であると承知しているが、間違いはないか。

七 前記答弁の理由で税収弾性値の算出に過去十年間の平均を用いてきたと承知している。ところが、令和六年度の税収弾性値を算出する際に、過去十年間、つまり、平成二十二年度から令和元年度の平均を用いて計算すると、税収弾性値は三・二三になる。一・一と比較して大きくぶれている事実を認識していたか示されたい。

八 令和六年一月三十日に令和六年度の税収弾性値を算出した際に、前記七で示した過去十年間の平均の税収弾性値三・二三を用いず、過去四十四年間の平均(税収弾性値一・一)に変更をした理由を示されたい。

九 バブル景気や世界金融危機を経ながらも、税収弾性値として常に一・一という値を採用していることは、実体経済を反映しないばかりか、税収ひいては財政運営に関する恣意的なメッセージを国民に発することとなり、不適切と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。