質問主意書

第217回国会(常会)

質問主意書

質問第九号

日本で起きたIR汚職事件の贈賄企業が米国で起訴された件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年一月二十四日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   日本で起きたIR汚職事件の贈賄企業が米国で起訴された件に関する質問主意書

 米司法省は二〇二四年十一月十八日、ニュージャージー州の連邦大陪審が、日本の統合型リゾート(以下「IR」という。)の選定に係る汚職事件に関連して、日本の国会議員に賄賂を渡したとして、500ドットコム(現ビットマイニング)の潘正明元最高経営責任者を海外腐敗行為防止法違反などの罪で連邦地裁に同年六月十八日付けで起訴したと発表した。

 同事件では二〇一九年十二月、内閣府副大臣(IR担当)や国土交通副大臣等を務めた元衆議院議員の秋元司氏が逮捕されている。秋元司氏は、二〇二一年九月に東京地裁で懲役四年、追徴金約七百五十八万円の判決を言い渡され、二〇二四年三月に東京高裁が控訴棄却、二〇二四年十二月に最高裁が上告棄却し、実刑判決が確定した。

 また、同事件では、逮捕には至らなかったものの五名の衆議院議員(岩屋毅氏、中村裕之氏、宮﨑政久氏、船橋利実氏、下地幹郎氏)が東京地検特捜部の聴取を受けている。下地元議員は金銭の授受を認め、その他の四名は否定したが、いずれも収賄の裏付けが不十分なことから不起訴となった。

 米国での捜査は連邦捜査局(FBI)の国際汚職捜査班が行い、日本の捜査当局の協力も得たとしている。米司法省が公表した起訴状では、賄賂を受け取った側の人物は匿名となっているが、日本の捜査当局の協力も得ていたことから前記国会議員四名、元国会議員一名であることが思料される。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 岩屋議員は現在、政府の要職である外務大臣に就任している。我が国の外務大臣が同盟国である米国の捜査対象となっている可能性に関して、政府の見解を示されたい。

二 中国政府と関連の強い企業からの収賄疑惑が取り沙汰された岩屋外務大臣が、米国を始めとする諸外国との外交関係や外交交渉において信頼関係を築き、自身の手腕を十分に発揮できるか懸念するが、政府の見解を示されたい。

三 中国政府と関連の強い企業からの収賄疑惑が取り沙汰された岩屋外務大臣が中国との外交交渉に当たる当事者となることは、我が国の主権と国益、安全保障上、不適当であると思料するが政府の見解を示されたい。

四 二〇二四年に成立した「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」(以下「セキュリティ・クリアランス法」という。)では、国務大臣、副大臣、大臣政務官等政府高官が適性評価対象外となっているが、岩屋外務大臣は中国政府と関連の強い企業からの収賄疑惑が取り沙汰され、東京地検特捜部から聴取を受けている。国務大臣等政府高官についても適性評価の対象とすべきと思料するが政府の見解を示されたい。

五 米司法省が公表した起訴状によると、贈賄側から日本の国会議員に対し、現金の供与だけではなく、性接待のための女性への支払を行ったことが記されている。このことから、ハニートラップを防止するためセキュリティ・クリアランス法では対象外となっている性行動調査が必要だと思料するが政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。