第217回国会(常会)
質問第七号 埼玉県川口市長のクルド人に関する要望等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年一月二十四日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 埼玉県川口市長のクルド人に関する要望等に関する質問主意書 埼玉県川口市においてトルコ国籍のクルド人が集中的に居住し、コミュニティーを形成していることに関して、国民から強い懸念や危惧する声が多く聞かれている。 クルド人はトルコ南東部の山岳地帯の出身者が多い。同エリアは、一九七〇~一九八〇年代まではトルコ国内で経済的発展や教育の普及から取り残されてきたと言われている。川口市に集まるクルド人はそのようなエリアから直接来日しているケースも多い。二〇二三年現在、約二千人のクルド人が川口市に居住していると見られるが、そのうちの約千三百人が難民認定申請中、残りの約七百人が不法滞在状態の仮放免者と見られている。 クルド人が欧米よりも遠い日本に来る理由は、三か月の短期滞在であれば査証が免除されることにある。その三か月を利用して多くのクルド人が難民申請を行っている。難民申請中の外国人には、難民申請から六か月が経過すると特定活動ビザが発効され就業を許可されることも多い。よって、就労を目的に来日し、難民としての認識が薄い者が急増した時期もあった。 難民認定制度が導入された一九八二年以降二〇二二年までの四十年間で難民認定されたクルド人は一人しかいない。この一人に関しても札幌高裁で難民不認定処分を取り消されたにすぎない。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の関係者がトルコ国内においてクルド人を差別する政策はないことを指摘している。旧来の悪しき風潮が残っている可能性があるかもしれないが難民に認定するほどのことはないと考える。 二〇二四年六月十日に改正入管法が施行され、難民申請中に強制送還を停止するのは二回までとなったが、難民審査の期間は平均二年二か月であり、結果が出るまでには四年以上の期間を要する場合もある。 これらの外国人による諸問題は埼玉県川口市に限ったことではないが、極めて象徴的な事象であることから例示した。 一 埼玉県川口市長は二〇二三年九月一日、国に対して以下三点要望している。 ・不法行為を行う外国人においては、法に基づき厳格に対処(強制送還等)していただきたい。 ・仮放免者が、市中において最低限の生活維持ができるよう「監理措置」制度と同様に、就労を可能とする制度を構築していただきたい。 ・生活維持が困難な仮放免者、および監理措置に付される者について、「入国管理」制度の一環として、健康保険その他の行政サービスについて、国からの援助措置を含め、国の責任において適否を判断していただきたい。 前記三点については正に同意するところであるが、本要望書に係る政府の見解を示されたい。 二 生活維持が困難な者を仮放免者とすることは地域社会に対して無責任な処遇であり、生活維持が困難な者は入国管理局当局の施設で収容を継続するべきと考えるが政府の見解を示されたい。また、仮放免者の増加が生活保護費の増加など自治体財政に及ぼす影響を政府はどう認識しているか示されたい。 三 コロナ禍明けには難民申請数が三倍以上に増加しているとされる一方、難民調査官は約四百人のままである。難民調査官の数が増えなければ審査期間の長期化という悪循環に陥ると思料するが、難民調査官増員の必要性に係る政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |