質問主意書

第216回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一六第六七号
  令和七年一月十日
内閣総理大臣臨時代理        
国務大臣 林 芳正


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出PFAS漏洩に係る日本政府と在日米軍の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出PFAS漏洩に係る日本政府と在日米軍の対応に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねについては、政府として、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会等様々な場で、ペルフルオロ(オクタン―一―スルホン酸)及びペルフルオロオクタン酸(以下「PFOS等」という。)の漏出に係る情報共有、再発防止策に係る調整等を米側から適切な協力を得て実施し、その結果得られた情報を関係地方公共団体に対し提供してきている。

三について

 御指摘の「PFASを含む泡消火剤について、在日米軍横田基地では二〇一六年以降、使用しておらず、残っていた物も二〇二四年五月末までに全て廃棄したとしている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、御指摘の「横田基地では過去にどれだけの期間、どれくらいの量が使用されていたか」を含め泡消火薬剤に関する情報について米側に確認している。米側からは、原料にPFOS等を含む泡消火薬剤は、平成二十八年以降、訓練を目的として使用していないとの説明を受けているが、横田飛行場における当該泡消火薬剤の使用期間及び使用量についての情報は得られていない。

四について

 御指摘の「規制基準等」の具体的に意味するところが明らかではないため、「国際的にも国民の健康を守り得る水準であると評価し得ないのではないか」とのお尋ねについてお答えすることは困難であるが、政府としては、PFOS等について、健康影響との関係を評価するための科学的知見は十分ではない中で、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(平成十六年条約第三号)に基づき、国内においては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十七号)及び化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令(昭和四十九年政令第二百二号)において、製造、輸入等を原則として禁止している。また、水道水や水環境中のPFOS等の濃度の暫定目標値を設定し、暫定目標値を超えた場合の飲用による暴露を防止するための取組を行うなど、予防的な対策を講じてきているところである。

 さらに、食品安全委員会において、有機フッ素化合物に係る食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第十一条第一項に規定する食品健康影響評価(以下「PFASに係る食品健康影響評価」という。)として、PFOS等の耐容一日摂取量の設定等を内容とする評価結果を令和六年六月に取りまとめたところであり、引き続き、当該評価結果を踏まえ水道水の水質基準を設定することについて検討するなど、国民の健康の保護に努めてまいりたい。

五について

 前段のお尋ねについては、「PFASの健康影響について、政府はどのような評価を行っているのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、四についてで述べたとおり、食品安全委員会において、PFASに係る食品健康影響評価を取りまとめたところである。

 後段のお尋ねについては、政府としては、御指摘の「在日米軍基地周辺に住む住民や基地で働く人々」に限らず、PFOS等の健康リスクの低減のためには、飲用による暴露を防止することが重要であることを踏まえ、四についてで述べたとおり、水道水や水環境中のPFOS等の濃度の暫定目標値を設定し、暫定目標値を超えた場合には、飲用による暴露を防止するための取組を行っている。また、住民の健康への不安に対しては、「PFOS及びPFOAに関する対応の手引き(第二版)」(令和六年十一月環境省水・大気環境局環境管理課及び大臣官房環境保健部化学物質安全課作成)において、「地方公共団体が直ちに取り組める対応として、既存統計の活用による地域診断の実施に取り組むとともに、既存の健康診査の定期受診を推進することが考えられる」としているところである。