第216回国会(臨時会)
内閣参質二一六第四〇号 令和七年一月七日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員山本太郎君提出令和六年能登半島地震及び令和六年奥能登豪雨被災地における文化財保全に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員山本太郎君提出令和六年能登半島地震及び令和六年奥能登豪雨被災地における文化財保全に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の「文化財レスキュー事業」は、文化庁から委託を受けた独立行政法人国立文化財機構(以下「機構」という。)が、地方公共団体等から要請を受けて、被災した文化財の保全に係る調査、「救出」、応急措置等(以下「保全措置」という。)を行う事業であるところ、機構によれば、令和六年能登半島地震及び令和六年九月二十日から同月二十三日までの間の豪雨による被害を受けた地域において、同年十二月十七日時点で地方公共団体等から機構に対して保全措置の実施の要請があった件数は二百四十二件であり、当該要請に対して機構が既に保全措置を実施した件数は二百一件であると承知している。 二について 御指摘の「前記出動要請に対して現時点で対応できていない」ものについては、機構において、現時点では、令和七年三月までに対応する予定であると承知している。 三について 御指摘の「上時国家住宅」の修理については、現在、当該住宅の所有者及び当該住宅が所在する輪島市において修理に向けた対応方針について検討を行っているところであると承知しており、現時点において具体的な見通しをお示しすることは困難である。また、「古文書の救出・保全」については、機構において、「文化財レスキュー事業」により、既に一部の「古文書」の「救出」を行ったところであり、その余の「古文書」については、当該対応方針の検討状況を踏まえて、機構において対応する予定であると承知している。 四について 御指摘の「文化財レスキュー事業及び文化財ドクター派遣事業」の「予算」については、令和六年度予備費及び令和六年度第一次補正予算において、機構によるこれらの事業の実施に必要となる委託費を措置しているところであり、「人員」については、機構において当該委託費により適切に対応するものと承知している。 五について 重要文化財の修理については、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第三十四条の二の規定により、重要文化財の所有者又は管理団体(以下「所有者等」という。)が行うこととされており、その経費については、同法第三十五条第一項の規定により、当該修理につき多額の経費を要し、所有者等において負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、その経費の一部に充てさせるため、政府が所有者等に補助金を交付することができることとされている。政府としては、補助金の交付に当たって、被災した文化財の修理を行う場合の補助率のかさ上げ等により、所有者等の負担の軽減を図っているところであるが、同項の規定の趣旨や、修理により利益を受ける所有者等に応分の負担を行わせるべきであることから、修理に係る経費の全額を公費で負担することは考えていない。なお、令和六年能登半島地震により被災した重要文化財の修理に関しては、石川県及び関係市町による所有者に対する財政支援も行われているものと承知している。 |