第216回国会(臨時会)
内閣参質二一六第二七号 令和六年十二月二十七日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員神谷宗幣君提出ガバメントクラウドの共同利用をめぐる諸課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員神谷宗幣君提出ガバメントクラウドの共同利用をめぐる諸課題に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「現在最も利用されているCSPの名称とその割合(シェア)」及び「現在採択されているシステム及びアカウントの数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、デジタル庁において現在運用しているガバメントクラウド(以下「現行ガバメントクラウド」という。)においてクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者が提供しているクラウド・コンピューティング・サービス別に、令和六年十一月末時点における当該クラウド・コンピューティング・サービスを利用して整備又は運用が行われている情報システムの数をお示しすると、それぞれ次のとおりである。 Amazon Web Services 千八百七十七件 Google Cloud 十一件 Microsoft Azure 十三件 Oracle Cloud Infrastructure 二十六件 二について お尋ねの法律案による改正後の情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第十八条第一項に規定する公共情報システム整備運用者には、地方公共団体のほか、国又は地方公共団体の事務の実施に関連する情報システムの整備又は運用を行う独立行政法人、地方独立行政法人等が該当するが、デジタル庁としてその数は把握していない。 また、お尋ねの「既に国と共同利用を行っている法人又は団体等の数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和六年十二月十三日現在、現行ガバメントクラウドにおいて情報システムの整備又は運用を行っている国以外の者の数は、五百九十七である。 三の1から3まで及び四について お尋ねの「データの使用範囲やアクセス条件を制限する契約条項の具体的内容」、「データの不正使用や漏洩を防ぐための技術的及び運用上の対策」、「政府及び行政機関が契約条件の遵守をどのように監視・確保するか」及び「当該国の政府や監督官庁が、我が国や公共情報システム整備運用者の承認を得ずに、当該CSPが運営管理するデータを国外移転させたり、CSPに対し当該データの開示を命じたり、当該データにアクセスしたりすること」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、令和五年度に行った現行ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者の募集(以下「令和五年度提供事業者募集」という。)に関する調達仕様書(以下「令和五年度調達仕様書」という。)においては、「環境一式に保管される業務データはユーザが所有権を持ち、ユーザが指定した場所に保管され、ユーザの許可なしに他所に移転・複写したりしないこと。ユーザ所有の暗号鍵で暗号化して保護できること。業務データへのアクセスはログとして取得し中央の管理領域に集めて管理できること」及び「政府機関等からの開示請求に際しては、速やかに当庁に通知するとともに協議に応じること。また、当該請求に対して必要に応じて異議申し立て等の適切な対応を取るとともに、国内法以外に基づく開示請求であった場合は主権免除の適用について当該外国政府機関等に通知すること」を技術要件として設けており、現行ガバメントクラウドに保管されている情報について、当該情報を管理する者以外の者が閲覧することはできないようにするための措置及び情報漏えいを防ぐための措置が講じられることとしている。 また、令和五年度調達仕様書においては、「第三者監査人の監査を受け実施されている旨の証明の提出ができること」も技術要件として設けており、当該証明により契約条件の遵守を確認することを可能としているほか、現行ガバメントクラウドに関してデジタル庁とクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者との間で締結されているクラウドサービス基本契約書(以下「現行ガバメントクラウド基本契約書」という。)においては、デジタル庁が定めた監督職員が提供事業者に対し契約に係る業務が適正に提供されているか等について説明を求めることができる旨の規定も設けられている。 五について お尋ねの「寡占による弊害」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮にガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者の数が著しく減少した場合には、事業者の間の競争が減少し、それに伴い、提供されるクラウド・コンピューティング・サービスの品質が低下したり、利用料が上昇したりする可能性もあると考えている。 また、お尋ねの「参入障壁」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、令和五年度提供事業者募集に当たっては、複数の提供事業者のクラウド・コンピューティング・サービスなどを組み合わせて提供する共同提案を可能としたほか、その時点で必要な要件を満たすことができない場合であっても、当該要件を令和七年度末までに満たす計画を提出した一定の場合には、当該提供事業者がガバメントクラウドとしての運用に係る検証作業等に参加することができることとしたところである。 六の1について 現行ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者に対する支払条件については、Amazon Web Services, Inc.及びグーグル・クラウド・ジャパン合同会社に対するものが毎月の実勢レートを用いた米ドル建て円払いであり、Microsoft Corporation及び日本オラクル株式会社に対するものが円建て円払いとされているが、来年度以降のガバメントクラウド(以下「次期ガバメントクラウド」という。)における支払条件については、現時点でお答えすることは困難である。 六の2について お尋ねの「為替変動リスク」を「負担する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、次期ガバメントクラウドにおいては、クラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者に対する支払条件が外貨建てでの支払である場合を含め、利用料はその利用者が負担することを予定している。 六の3及び4について お尋ねの「利用料変動」及び「利用料の変動に関与できる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、次期ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの利用料については、デジタル庁とクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者との間の利用条件に関する契約(以下「利用条件契約」という。)で定められるものであることから、利用者がその設定に関わるものではないと考えており、また、当該利用条件契約の契約期間の満了後に締結される新たな利用条件契約において、利用料の変更が行われる可能性はある。 七について 前段のお尋ねについては、次期ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの利用者は、利用条件契約で定められた利用条件により、クラウド・コンピューティング・サービスを利用することが予定されている。後段のお尋ねについては、「CSPの情報管理や運用について、調査・監査・監督する措置」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、三の1から3まで及び四についてで述べたとおり、現行ガバメントクラウド基本契約書においては、デジタル庁が定めた監督職員が提供事業者に対し契約に係る業務が適正に提供されているか等について説明を求めることができる旨の規定が設けられている。 八及び九について お尋ねの「CSPの責に帰すべき事由により、情報漏洩や不正利用が発生し、国民や法人に被害が生じた場合」の「責任主体」については「CSP」となるものと考えられるが、お尋ねの「請求」については、個別具体の事実関係に即して判断されるものと考えている。 十について お尋ねの「CSPが、自己の判断に基づき、クラウドサービスを停止した場合」については、その具体的な態様や停止に至るまでの期間等が様々に想定されるものであるため、お尋ねの「措置」について、一概にお答えすることは困難である。 |