質問主意書

第216回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一六第二三号
  令和六年十二月二十四日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員神谷宗幣君提出大学における外国人留学生の出身国の偏在と安全保障上の懸念に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出大学における外国人留学生の出身国の偏在と安全保障上の懸念に関する質問に対する答弁書

一について

 前段のお尋ねについては、我が国の大学における外国人留学生の総数及び出身国については、独立行政法人日本学生支援機構が毎年度実施している「外国人留学生在籍状況調査」により把握しており、我が国の大学における在籍者の数に占める外国人留学生の比率については、同調査により得られた我が国の大学における外国人留学生の総数を文部科学省が毎年度実施している「学校基本調査」により得られた我が国の大学における在籍者の総数で除して算出することにより把握している。

 後段のお尋ねについては、政府としては、多様な国及び地域からの外国人留学生の受入れは重要であると考えており、引き続き、多様な国及び地域の大学等とのネットワークの構築、留学情報の収集及び提供等を実施する体制を整備すること等に留意しつつ、外国人留学生の受入れの促進に取り組んでいるところである。

二について

 前段のお尋ねについては、御指摘の「中国からの留学生が突出して多い現状」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一についての後段でお答えしたとおりである。

 後段のお尋ねについては、御指摘の「安全保障上の課題が多い」の意味するところが必ずしも明らかではないが、外国人留学生の受入れに当たっては、安全保障に関連する機微技術の管理の徹底が重要であると考えており、文部科学省においては、我が国の大学に対し、経済産業省作成の「安全保障貿易に係る機微技術管理ガイダンス(大学・研究機関用)」(以下「本ガイダンス」という。)を周知する等のための文書を発出し、本ガイダンスに沿って、留学生の受入れ、当該受入れに伴う技術の提供等について安全保障に関連する機微技術の管理に関する具体的な手続を定めるよう指導するとともに、当該技術の管理に関する説明会を開催する等して、大学等において当該技術の管理が徹底されるよう施策を講じてきたところである。

三について

 御指摘の「中国の国防動員法・国家情報法及び軍民融合政策」は他国の法律及び政策であり、また、御指摘の「中国人留学生の突出が我が国の安全保障に与える影響」の趣旨が明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、外国人留学生の受入れに当たっては、安全保障に関連する機微技術の管理の徹底が重要であると考えている。

四について

 お尋ねについては、令和五年四月二十七日に教育未来創造会議で取りまとめられた「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ(第二次提言)」等を踏まえ、多様な国及び地域の大学等とのネットワークの構築、留学情報の収集及び提供等を実施する体制を整備すること等に留意しつつ、外国人留学生の受入れの促進に取り組んでいるところである。

五について

 前段のお尋ねについては、令和六年六月四日の参議院文教科学委員会において、盛山文部科学大臣(当時)が「大学の設置等については、政府の総合規制改革会議の答申を踏まえまして、平成十五年施行の学校教育法等の改正により、審査基準等の準則主義化や大学の量的な抑制方針を原則撤廃をしたというところがございます。その上で、大学の設置認可審査においては、大学設置基準等への適合性や十分な学生確保の見通しを有していることなどを審査し、その時点その時点で個別の申請に応じて認可をしてきたところでございます。・・・他方、・・・少子化の急速な進展、そしてそのほかのいろいろな状況があろうかと思いますが、定員未充足の大学が増加している、あるいはそういったことを理由にして経営悪化傾向のある大学があるということで、我々としましても、文部科学省としてもきめ細かな指導、助言、これを必要に応じて実施してきたところでございます」と答弁したとおりである。

 後段のお尋ねの「外国人留学生の受入れを増加させること」については、一義的には、各大学において判断されるべきものであるが、政府としては、我が国の大学の教育研究の国際競争力の向上等の観点から、安全保障に関連する機微技術の管理の徹底等を行った上で、多様な国及び地域から優秀な外国人留学生の受入れを促進することが重要であると考えている。