第216回国会(臨時会)
内閣参質二一六第一二号 令和六年十二月十三日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員神谷宗幣君提出外国人住民が増加する地域における被疑者情報公開基準の検討等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員神谷宗幣君提出外国人住民が増加する地域における被疑者情報公開基準の検討等に関する質問に対する答弁書 一及び二について 警察においては、犯罪等が発生した際には、事案の内容等に応じ、被疑者の特徴その他の必要な情報を地域住民等に提供し、自主的な防犯対策を促すこととしており、当該情報の提供の要否及びその内容について、一律の基準を設けることとはしていない。また、当該情報の提供の要否及びその内容については、事案の内容等に応じ、個別に判断すべきものであることから、一律の基準を設けることは適当ではないと考えている。他方で、実際の当該情報の提供に当たっては、事件関係者のプライバシーの保護等に細心の注意を払うこととしている。 三について お尋ねの「公開又は非公開が捜査に支障を及ぼした事例」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、一般論としては、警察が被疑者の特徴その他の情報を公開することにより、有益な情報を得られる可能性があるほか、地域住民等に自主的な防犯対策を促すことができる一方で、罪証隠滅のおそれが高まることもあり得るため、当該情報の公開に当たっては、こうした捜査に与える影響等を勘案して判断している。 四の前段について お尋ねの「外国籍運転者数(免許別)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国の運転免許(仮運転免許を除く。以下同じ。)を受けている者のうち、外国籍を有する者の数は、令和六年十月末時点において、百二十三万八千七百四人である。その運転免許の種類ごとの内訳については、第一種運転免許及び第二種運転免許の別に、運転免許の種類別の運転免許を受けている者の数をお示しすると、それぞれ次のとおりである。 1 第一種運転免許 大型自動車免許 三万二千三十二人 中型自動車免許 三十三万千百八十三人 準中型自動車免許 三十万六千八十八人 普通自動車免許 四十八万八千五百二人 大型自動二輪車免許、普通自動二輪車免許又は原動機付自転車免許 六万五千六百四十一人 その他の運転免許 七十五人 2 第二種運転免許 大型自動車第二種免許 三千四百十五人 中型自動車第二種免許 五千八百四人 普通自動車第二種免許 五千九百五十四人 その他の運転免許 十人 なお、第一種運転免許と第二種運転免許の双方を受けている者については、第二種運転免許を受けている者として、第一種運転免許のうち複数の運転免許を受けている者については、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第七十一条の五第二項に規定する上位免許を受けている者として、第一種運転免許のうち大型自動二輪車免許、普通自動二輪車免許又は原動機付自転車免許とこれら以外の運転免許(小型特殊自動車免許を除く。)の双方を受けている者については、後者の運転免許を受けている者として、それぞれ集計している。 また、お尋ねの「運転免許証の不正取得や不正利用で摘発された件数」については、その具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 さらに、お尋ねの「外国籍運転者による事故の事例」については、調査に膨大な作業を要するため、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、令和六年九月二十九日に埼玉県川口市において発生した、我が国の運転免許を同法第九十九条第一項に規定する指定自動車教習所で検定を受けた上で学科試験を経て取得した中華人民共和国の国籍を有する運転者が第一当事者であった死亡事故があるものと承知している。 加えて、お尋ねの「外国籍運転者による事故」の「件数(免許別)」及び「被害の実態」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和五年中、同法第百七条の二に規定する国際運転免許証を所持する外国籍を有する者が第一当事者であった交通事故(人の死傷を伴うものに限る。以下同じ。)は百九十件発生し、死者数は五人、負傷者数は二百三十三人であり、同条に規定する外国運転免許証を所持する外国籍を有する者が第一当事者であった交通事故は三十四件発生し、死者はおらず、負傷者数は四十三人であり、我が国の運転免許を受けている外国籍を有する者が第一当事者であった交通事故は六千三百六十七件発生し、死者数は三十九人、負傷者数は七千九百八十三人である。また、これらの運転免許の種類ごとの内訳については、網羅的に把握しておらず、お答えすることは困難である。 四の後段について 御指摘の「当面考えられる法や規則の改正などの対策」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、外国人向けの交通安全対策については、警察では、これまでも外国人に対し、リーフレットを配布するなどして交通ルールの周知を行ってきたところ、引き続き、交通事故の発生状況等を注視しつつ、運転免許制度の適切な運用及び外国人に対する交通ルールの周知による道路交通の安全確保に努めてまいりたい。 五について 御指摘の「送還拒否の教唆」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、本邦からの退去を拒んでいる者については、適切に対処してまいりたい。 六について 前段のお尋ねのうち、「認識」については、御指摘の「トルコ国籍のクルド人の人口が増加している問題」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和五年十二月末時点で埼玉県内に居住するトルコ共和国の国籍を有する者は千七百八十六人であり、これは平成二十五年と比較すると約三倍に増加していると承知している。また、前段のお尋ねのうち、「トルコ政府や駐日トルコ大使館とどのような協議や連携を行っているのか」については、相手国との関係もあり、特定の国に関し、お答えすることは差し控えたいが、一般的には、政府としては、多言語で「生活・就労ガイドブック」を作成するなど、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」(令和四年六月十四日外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定、令和六年六月二十一日一部変更)等に基づき、地域における外国人との共生社会の実現に向けた取組を進めている。 また、後段のお尋ねについては、御指摘の「トルコ国籍者に対する査証免除措置」と「滞在期限直前の難民申請」との因果関係が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、現時点で、トルコ共和国の国籍を有する者の短期滞在に係る「査証免除措置」の見直しが必要とは考えていない。 七について 政府としては、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる社会を実現することが重要であると考えており、「「世界一安全な日本」創造戦略二〇二二」(令和四年十二月二十日閣議決定)及び「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(令和六年度改訂)」(令和六年六月二十一日外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)に基づき、警察における人的基盤の強化や外国人とのコミュニケーションの円滑化のための装備資機材の活用、適切な通訳の確保等を推進してきたところである。引き続き、これらの取組を推進してまいりたい。 八について 文部科学省においては、地方公共団体が行う各学校における日本語指導が必要な児童生徒の受入体制の整備について、平成二十五年度から「帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業」により、外国人児童生徒の母語を解する支援員の派遣に係る取組等について補助を行っているところである。 |