質問主意書

第216回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一六第七号
  令和六年十二月十日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出政府が税に関する試算を公表した場合はその試算の根拠となる試算式を公表する必要性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出政府が税に関する試算を公表した場合はその試算の根拠となる試算式を公表する必要性に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘のとおりである。

二及び三について

 お尋ねの「試算に用いられたデータ全て」については、膨大な作業を要することから、その全てをお示しすることは困難であるが、お尋ねの「統計データ」については、例えば、統計法(平成十九年法律第五十三号)や地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)に基づく統計調査として、労働力調査(基本集計)(令和三年平均)、令和三年民間給与実態統計調査及び令和四年度の市町村税課税状況等の調を利用しており、所得税の基礎控除の額を最高四十八万円とする現行制度における基礎控除による所得税収の減収額については、これらの統計等を用いて推計した基礎控除の適用者の給与収入の有無等に係る区分ごとの人数に基づき算出した基礎控除の額の合計額に所得税率を乗じて、その総額を二・六兆円程度と試算している。

 その上で、基礎控除の額一万円当たりの所得税収の減収額を機械的に試算すると、五百億円程度であり、基礎控除の額を七十五万円引き上げた場合の所得税収の減収額は、五百億円程度に七十五を乗じ、四兆円弱程度となる。また、個人住民税の基礎控除額を七十五万円引き上げた場合の個人住民税収の減収額について、所得税収の減収額と同様に試算すると、四兆円程度となる。

四及び五について

 お尋ねの「所得税減税による他租税への影響や、乗数効果等の副次的な影響や波及的な影響」については、網羅的に把握することは困難であり、二及び三についてで述べた試算には反映していないが、一般論として、税制改正が税収に与える影響額の試算について、「他租税への影響や、乗数効果等の副次的な影響や波及的な影響」を勘案していない機械的な試算であっても政策判断を行う上で一定の意義があるものと考えており、今般もその意義を踏まえて、一で御指摘の「試算」を、国民の誤解を招かないように留意しつつ、お示ししたものである。

六について

 お尋ねの「政府が公表する税の減収額」について、「試算に用いられたデータ全て及びその試算式」全てを公表しているわけではないが、例えば、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(平成二十二年法律第八号)の規定に基づく「租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」を基に試算した法人税の減収額について、当該試算に用いられたデータを同報告書において公表しているほか、当該試算の前提とともに試算の結果を国会に提出しているなど、必要に応じて対応をしているところであり、引き続き、国民への適切な情報提供に努めてまいりたい。