質問主意書

第216回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一六第三号
  令和六年十二月十日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員神谷宗幣君提出闇バイト規制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出闇バイト規制に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「闇バイト」については、明確な定義はないが、令和六年六月十八日の犯罪対策閣僚会議で決定した「国民を詐欺から守るための総合対策」(以下「総合対策」という。)においては、「「闇バイト」等情報」を、「「闇バイト」、「裏バイト」等と表記したり、仕事の内容を明らかにせずに著しく高額な報酬の支払いを示唆したりして犯罪の実行者を募集する投稿や当該投稿に関連する情報をいう」としている。

 また、お尋ねの「闇バイトと通常の求人を線引きする基準」については、前述のとおり「闇バイト」の明確な定義がないためお答えすることは困難であるが、一般論として申し上げれば、犯罪の実行者の募集であるか否かについては、業務の内容や賃金等を踏まえ、個別の事案ごとに判断されるものと承知している。

二について

 「犯罪捜査において、犯罪防止の観点から、現在どのような対応を採っているのか」とのお尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般論として、警察では、捜査の過程で犯罪防止に資する情報等を得た場合には、必要に応じて、関係事業者に提供するなどの対策を講じている。

 また、お尋ねの「どのように追跡・摘発を行っているのか」については、捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、これを明らかにすることにより、今後の捜査活動に支障をもたらすおそれがあることから、お尋ねの「課題と対策」を含め、お答えすることは差し控えたい。

三について

 御指摘の「努力義務として課す」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「求人サイト」の運営者を含めた、職業紹介事業者及び募集情報等提供事業を行う者については、これらの事業者団体等に対して、御指摘の「闇バイトの募集」を含む職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第六十三条第二号に規定する公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせることを目的とした求人及び労働者の募集に関する情報(疑いのあるものを含む。以下同じ。)を発見した場合には、直ちに削除等の措置を採った上で、警察に通報するよう要請している。また、公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせることを目的とした求人及び労働者の募集に関する情報は、求人等に関する情報の的確な表示について定める同法第五条の四の規定に違反している可能性が高いと考えられることから、職業紹介事業者等が当該求人等に関する情報に対して適切な措置を講じない場合には、指導監督の対象となり得る。

 また、御指摘の「SNS」を提供する主な事業者は、警察や利用者による通報等に基づき、御指摘の「SNS」上の投稿が、同法等の法令に違反しているなどと判断した場合、利用規約等に基づいて当該投稿の削除等の必要な措置を講じていると承知している。

四について

 警察では、既に、犯罪の実行者の募集であると疑われる情報に係る相談窓口として、都道府県警察本部の総合窓口に設置された全国統一の番号である「警察相談専用電話(「#九一一〇」番)」を政府広報や警察庁のウェブサイト等で広く国民に周知しているところであり、お尋ねの「疑わしい求人について国民が相談できる窓口の設置を義務化する」ことは、現時点では必要ないと考えている。今後、犯罪の実行者の募集に起因する強盗等への対策として、犯罪に加担しようとする者に対する呼び掛け等、インターネット等を通じた広報啓発を強化してまいりたい。

五について

 前段のお尋ねのような取組については、総合対策において、「SNS上で発信されているものを含む「闇バイト」等への応募等、青少年が事の重大性を認識することなく、安易な考えから犯罪に加担してしまうこと等のないよう、防犯教室や非行防止教室等の場を活用して、検挙事例を交えながら具体的に情報発信する」としていることを踏まえ、警察庁においては、全国の都道府県警察に対し、少年に対する非行防止教室等を通じた効果的な広報啓発等の対策を推進するよう指示している。また、後段のお尋ねの「情報リテラシー教育の強化に関する取組」の意味するところが必ずしも明らかではないが、総合対策において、「学習指導要領において情報モラルを含む情報活用能力を育成することとしているところ、小学校段階から、情報発信による他人や社会への影響について考えさせる学習活動や、ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について考えさせる学習活動などを通じて、情報モラルを確実に身に付けさせる」としていることを踏まえ、文部科学省では、「情報モラル教育ポータルサイト」において御指摘の「闇バイト」に関する教材を提供するなどの施策に取り組んでいる。

六について

 お尋ねの「規制体制」については、その意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

 また、お尋ねの「技術面での追跡・摘発能力」については、新たな科学技術の活用を図るなど、その強化に努めているものと承知している。

 さらに、お尋ねの「他国における規制や技術対応に係る同様の事例」の把握については、「技術対応」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、政府部内で検討中の事柄に関するものであることから、詳細についてお答えすることは差し控えたいが、一般論として、検討に当たっては、必要に応じて、諸外国の事例等も参考にしているものと承知している。

 加えて、お尋ねの「規制強化や対応策」については、現在検討中であり、現時点でお答えすることは困難である。