第216回国会(臨時会)
内閣参質二一六第一号 令和六年十二月十日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員神谷宗幣君提出我が国の薬物乱用実態とそれが国家安全保障に与える影響に対する認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員神谷宗幣君提出我が国の薬物乱用実態とそれが国家安全保障に与える影響に対する認識に関する質問に対する答弁書 一について 我が国への不正薬物の流入防止等については、「第六次薬物乱用防止五か年戦略」(令和五年八月八日薬物乱用対策推進会議決定)の目標五に「国際社会の一員としての国際連携・協力を通じた薬物乱用防止」を掲げ、関係省庁の連携の下、取り組んでいるところ、お尋ねについては、例えば、薬物に係る情勢、捜査手法等に関する情報共有や協力体制の強化を目的に、中国を含むアジア・太平洋地域の各国が参加する「アジア・太平洋薬物取締会議」を開催し、薬物に係る犯罪組織の壊滅に向けた国際協力等に関する協議を行っているほか、日中両国の犯罪情勢、犯罪対策等に関する意見交換及び個別事件における捜査協力について協議する「日中警察協議」を開催するなど、国際会議等の場において、情報共有や協力要請を行っているところであるが、これ以上の詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり差し控えたい。 二について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、先の答弁書(令和六年四月十九日内閣参質二一三第一〇四号。以下「前回答弁書」という。)二についてで述べたフェンタニルについての御指摘のような「我が国における」「乱用」の「状況」についての御質問であるとすれば、令和六年三月二十九日の参議院財政金融委員会において、政府参考人が「我が国では、フェンタニルを麻薬として指定した上で、輸入、譲渡、所持、施用等を厳格に規制し、医療機関等への立入検査なども行って、不正流通の防止を徹底しております。フェンタニルは、欧米諸国では医療用麻薬として広く使用されておりますが、我が国では、承認適応は限定されるなど極めて抑制的に使用されており、現時点では米国のような乱用の実態はないというふうに認識しております。」と答弁しているとおりである。 三について お尋ねの「同種事案の取締り」については、都道府県警察、地方厚生局の麻薬取締部及び税関において、個別の事案に応じ、捜査情報等を共有するなど必要な連携を図りながら行っているところである。また、お尋ねの「同種事案」の「未然防止」については、厚生労働省において、チラシ、ウェブサイト等により、御指摘の「海外通販サイトから我が国に持ち込まれる薬物」について、「厚生労働省が、インターネット上で販売されている「海外製医薬品」と称する製品を購入・分析した結果、表示と異なる成分を含む「粗悪品」や「ニセモノ」の製品が数多く見つかっています。これらを使用すると重大な健康被害が生じるおそれがあります」等と記載し、注意喚起を行っているところである。 四について お尋ねについては、調査に膨大な作業を要することから、網羅的にお答えすることは困難であるが、平成三十一年から令和五年までの間において、御指摘の「取締りや押収」を行った事例は把握していない。 五について お尋ねについては、前回答弁書三についてでお答えしたとおりである。なお、「令和五年における組織犯罪の情勢」(令和六年三月警察庁組織犯罪対策部公表)において、「薬物密輸入事犯の検挙人員に占める・・・外国人の割合は六十一・六パーセントと増加するとともに高水準で推移しており、同事犯に海外の薬物犯罪組織が深く関与していることがうかがわれる」など、可能な限り情報を公開してきているところであり、引き続き適切な警察活動を実施していくこととしている。 六について お尋ねについては、個人の著作等に係るものであり、また、御指摘の「超限戦」及び「薬物戦」について政府として確立した定義を有していないため、前回答弁書四についてでお答えしたとおり、お答えすることは困難である。なお、御指摘の「レポート」には、「日本政府あるいは防衛省の公式見解を示すものではない」と記載されているところである。 |