質問主意書

第216回国会(臨時会)

質問主意書

質問第六五号

脱衣所・浴室で冬場に多く発生する事故に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年十二月二十四日

齊藤 健一郎


       参議院議長 関口 昌一 殿



   脱衣所・浴室で冬場に多く発生する事故に関する質問主意書

 脱衣所・浴室で冬場に多く発生する事故について、以下質問する。

一 厚生労働省(以下「厚労省」という。)は、入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究で、「入浴中急死の多くは浴槽内で発生し、高齢者に多く、冬場に多い。」、「器質的疾患によるものと、熱中症によるものの二つの病態が存在する」としている。前者は、冠動脈硬化など心臓病や脳血管障害(一部)が死因であり、入浴中に心臓発作から心肺停止に至り、あるいは脳血管障害のために出浴不能となって死亡する。後者では器質的疾患は関与せず、アルコールや眠剤による長時間入浴が体温上昇をもたらし、あるいはアルコールなどの関与がなくとも長時間入浴による体温上昇が意識障害(熱中症の症状)をもたらして出浴が不能となり、その結果、入浴が遷延して体温が更に上昇し、熱中症の症状のために死に至ると結論を示した。

 鳥取県では、令和五年に脱衣所・浴室内で発生し緊急搬送された事故は五百四十五件、うち、約八割を六十五歳以上の高齢者が占め、十二月~三月に多く発生している。大半の入浴事故の要因が「熱中症」であることが明らかになったと調査報告で示している。

 厚労省は、脱衣所・浴室で発生する事故について「器質的疾患によるものと、熱中症によるもの」の二つの結論を示しているが、どちらの事故が多いのか、政府の分析と見解を示されたい。

二 日本医師会の見解では、ヒートショックとは「急激な温度の変化で身体がダメージを受けること」と説明されている。暖房がきいた部屋から寒い脱衣所や浴室に入ると、急激な温度差で血圧が上がり心拍数が増え、脳卒中や狭心症を起こすこともある。高齢者に多く、血圧の急激な変化に起因して死亡する。

 マスコミは、ヒートショックによる冬場の事故が発生していると報道するが、表現を「ヒートショック」で一つにまとめてしまうと、暖房がきいた部屋から寒い脱衣所や浴室に入ると、急激な温度差による影響が原因と解釈されてしまうおそれが考えられる。鳥取県の調査のように大半の入浴事故の要因が「熱中症」であることが明らかになっている。

 政府は、これから冬本番を迎えるに当たり、国民へ具体的な説明を今一度示すべきであると考えるが見解を示されたい。

  右質問する。