第216回国会(臨時会)
質問第五四号 アイヌを先住民族としたことに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年十二月二十三日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 アイヌを先住民族としたことに関する質問主意書 二〇一九年四月十九日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」が成立したことにより、法制上アイヌの人々が北海道の先住民族であることが規定された。同法には、国有林野においてアイヌの儀式の実施その他のアイヌ文化の振興等に利用するための林産物の採取における共同使用権の取得に関する規定、内水面さけ採捕事業における漁業法及び水産資源保護法上の許可の配慮に関する規定などが設けられている一方で、アイヌの人々によるアイヌ政策の自決権に関する規定は設けられていない。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 日本国憲法第十四条には「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と規定されているが、アイヌへの特別優遇などアイヌに限定した政策は日本国憲法に反し、アイヌ以外の国民に対する逆差別に当たるのではないか。政府の見解を示されたい。 二 先住民族の権利に関する国際連合宣言(国連総会第六十一会期二〇〇七年九月十三日採択)第四条は、「先住民族は、その自己決定権の行使において、このような自治機能の財源を確保するための方法と手段を含めて、自らの内部的および地方的問題に関連する事柄における自律あるいは自治に対する権利を有する。」と規定しているが、政府は同条の内容にのっとり、アイヌ民族の自己決定権に関する規定を設ける意向があるのか示されたい。 三 アイヌを先住民族であると認めると、倭民族、熊襲民族、隼人民族及び琉球民族も先住民族であると認める必要があるのではないか。政府の見解を示されたい。 四 アイヌ民族であることの証明は困難と思料するが、どのような基準を設けてアイヌ民族であることを認定しているのか示されたい。また、アイヌ民族であることを認定する基準はどうあるべきと考えるか、政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |