第216回国会(臨時会)
質問第五三号 国産米の国際競争力に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年十二月二十三日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 国産米の国際競争力に関する質問主意書 香港、シンガポール、台湾、アメリカへの国産米の輸出は直近十年で大幅に増加している一方、中国への国産米の輸出は減少傾向にある。中国では、日本にルーツを持つ種類のコメ、例えば「コシヒカリ」や「あきたこまち」が、国内価格の数分の一で販売されており、中国への国産米の輸出が減少している要因になっていると思料する。 一九九九年に制定された食料・農業・農村基本法は、貿易自由化に対応するために大規模な専業農家による生産性向上を目指す方向性を示したはずだった。ところが、その後の政府の農政は一貫せず、兼業農家などの農業の多様性を重視することで生産集約による効率化を阻むこととなった。政府は減反政策の一環として、飼料用米の栽培に変更したコメ農家に対し補助金を給付した。コメ農家は中国を始めとした新しい市場で価格競争にさらされるよりも補助金による安定収入を確保するようになった。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 日本のコメの自給率はほぼ百%であり、日本人にとって主食であるコメは、食料安全保障の要と言える。可能な限り減反政策を取らず、コメの貿易振興を図ること等で生産能力の維持を図るべきであると思料するが政府の見解を示されたい。 二 大規模な専業農家による生産性向上を目指すことで稲作は効率化され、コメの生産コストを抑えることができる。国産米の価格を国際競争力のある水準に抑えることができれば、世界各地からの需要が見込める。政府は、中小零細農家など多様性を重視した政策を進めるのか、それとも、生産を集約し効率化を進めるのか、見解を示されたい。 三 アメリカ国内では、カリフォルニア米と日本米がほぼ同じ価格で販売されている。アメリカにおいてコメの販売競争をするには関税の撤廃が必要と考える。しかし、生産者支援や政策目的の誘導を行うために関係者へ直接的に補助金を支払う制度を導入することで、国産米の国際競争力を増すことも可能と思料する。国産米の国際競争力を増すための関税の撤廃、補助金の導入について政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |