第216回国会(臨時会)
質問第五二号 公益通報者保護法の三号通報における体制整備等義務に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年十二月二十三日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 公益通報者保護法の三号通報における体制整備等義務に関する質問主意書 私が提出した「公益通報者保護法の体制整備等義務は内部通報者のみとしている逐条解説に関する質問主意書」(第二百十六回国会質問第一五号。以下「同質問主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質二一六第一五号)において、政府は、「公益通報者保護法第十一条第一項及び第二項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(令和三年八月二十日内閣府告示第百十八号)中の「第四 内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置(法第十一条第二項関係)」(以下「法指針第四」という。)における「公益通報者」については、「その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者」(以下「その他の外部通報先」という。)に対する公益通報をした者、いわゆる外部通報者も対象である旨答弁した。 他方、同質問主意書で指摘した公益通報者保護法の逐条解説以外の解説書籍・論文について、私の事務所から国立国会図書館へ調査依頼したところ、「逐条解説・公益通報者保護法(第二版)」(消費者庁参事官(公益通報・協働担当)室編、商事法務)、「公益通報者保護法に基づく事業者等の義務への実務対応」(中野真著、商事法務)、「公益通報者保護法改正の概要」(中野真、ジュリスト一五五二号)、「二〇二二年義務化対応 内部通報・行政通報の実務~公益通報体制整備のノウハウとポイント~」(日野勝吾著、ぎょうせい)、「内部通報制度の構築・運用の実務」(坂井知世、ビジネス法務二〇二三年九月号)、「改正公益通報者保護法の概要」(戸塚亮太・蜂須明日香、法律のひろば二〇二二年六月号)が提供された。しかし、いずれも同法第十一条第二項は内部通報(一号通報)のみを対象としたものとの記載であり、外部通報を対象としていると記載された解説書籍・論文は見当たらなかった(以下「調査結果」という。)。 これらについて、以下質問する。 一 公益通報者保護法第十一条第二項は内部通報のみが対象とされ、内部通報に対応するための体制整備に限定されているとの調査結果は、同質問主意書に対する答弁書における政府見解と異なるが、これについて改めて政府の見解を示されたい。 二 前記一について、調査結果で示された解説書籍・論文がいずれも誤っているとすると、多くの国民が法令解釈を誤る要因となる可能性が高く、現に弁護士間でも見解の相違が起きている等混乱が発生している。そのため、政府として何かしら対応を採るべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 三 消費者庁ホームページの公益通報者保護制度に関するQ&Aには、「行政機関以外のその他の外部通報先向けの通報対応ガイドラインはありますか。」との問いに対し、「その他の外部通報先は多種多様であるとともに、行政機関がガイドラインを定めることが適当でない場合もあると考えられることから、ガイドラインは設けられていません。」と示されている。その他の外部通報先についても、法指針第四で定められた公益通報者を保護する体制の整備が義務化されているのであれば、その体制整備のため、一定のガイドラインが当然必要ではないか。政府の見解を示されたい。 四 同法で定められている「その他の外部通報先」が、法指針第四に定められている「不利益な取扱いの防止に関する措置」を行う場合、「その他の外部通報先」は通報対象の事業者の外部であることから、公益通報者が不利益な取扱いを防ぐための措置を講ずることは実質的に困難ではないか。どのような場合を想定して「その他の外部通報先」に「不利益な取扱いの防止に関する措置」を講ずることを義務化しているのか、政府の見解を示されたい。 五 同法で定められている「その他の外部通報先」が、法指針第四に定められている「範囲外共有等の防止に関する措置」を行う場合、「範囲外共有等」とは主に何を指すのか示されたい。また、報道機関が公益通報を受けた際、当該通報を受けた旨とその内容を報道した場合は範囲外共有等に当たるのか示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |