質問主意書

第216回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四六号

国民健康保険料(税)の徴収方法に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年十二月二十日

石垣 のりこ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   国民健康保険料(税)の徴収方法に関する質問主意書

 国民健康保険法第七十六条は、国民健康保険事業に要する費用等に充てるため、「市町村は、(中略)保険料を徴収しなければならない。ただし、地方税法の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでない。」と規定しており、保険料の徴収を基本としている(保険料方式)。しかし、実際は、大半の自治体において、国民健康保険税を課している(保険税方式)。

 保険料方式及び保険税方式については、以下三点の大きな違いがある。

・徴収権の消滅時効の期間について、保険料方式では二年、保険税方式では五年

・遡及賦課の期間制限について、保険料方式では二年、保険税方式では三年

・滞納等があった場合の差押えによる弁済の優先順位について、保険料方式では国税及び地方税に次ぐ順位、保険税方式では国税や他の地方税と同順位

 このため、保険税方式を採用する方が自治体には有利になることから、保険税方式を採用する自治体が多いと考えられる。自治体が、保険料方式か保険税方式のいずれを採用するかによって消滅時効の期間等が異なるため、滞納等があった場合に、自治体及び被保険者の取るべき対応が変わることになる。

 一方で、被保険者に対する告知等については、保険税方式を採用している自治体でも「保険料」と記載している場合がある。被保険者に誤解を生じさせるとともに、自治体が正確な説明責任を果たしていないと考える。

 国民の多くは、我が国が国民皆保険制度を採っており、被用者が被用者保険に、自営業者等が国民健康保険に加入することで全国一律の医療サービスが受けられるという認識を持っている。そのため、国民健康保険制度内において、居住する自治体によって保険料(税)の徴収方法が異なることを知らないのではないか。医療サービスの給付は全国一律であるにもかかわらず、保険料(税)の消滅時効等について地域差があることは不公平・不合理だと考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 国民健康保険制度においては、保険料方式又は保険税方式により、保険料(税)の徴収権の消滅時効の期間、遡及賦課の期間制限及び差押えによる弁済の優先順位などが異なるが、居住する自治体によって差異が生じることは不公平・不合理だと考える。保険料方式又は保険税方式のいずれかにそろえる必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 国民健康保険法上、ただし書となっている保険税方式を採用する自治体の方が圧倒的に多いが、保険税方式を採用している自治体数及びその被保険者数、保険料方式を採用している自治体数及びその被保険者数を示されたい。

三 国民健康保険法の趣旨に鑑みると、保険税方式を採用している自治体は、今後、保険料方式に切り替える必要があると考える。将来的に国民健康保険法を改正し、保険料方式に統一すべきだと考えるが政府の見解を示されたい。

  右質問する。