質問主意書

第216回国会(臨時会)

質問主意書

質問第三九号

何度も回答可能なアンケート調査の結果を基に兵庫県知事のパワハラを見聞きした旨のテレビ報道が繰り返しなされたこと等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年十二月十九日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   何度も回答可能なアンケート調査の結果を基に兵庫県知事のパワハラを見聞きした旨のテレビ報道が繰り返しなされたこと等に関する質問主意書

 兵庫県議会においていわゆる百条委員会が設置されている。百条委員会は、都道府県及び市町村の事務に関する調査権を規定した地方自治法第百条に基づき、地方議会が議決により設置する特別委員会の一つとされ、議会の議決に当たっての補助的権限、執行機関に対する監視機能を有している。地方自治法第百条第一項は、「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(中略)に関する調査を行うことができる。(中略)選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。」と定めている。また、同条第三項は、「第一項後段の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。」と定めており、国会の国政調査権(日本国憲法第六十二条)に相当する規定となっている。

 兵庫県で百条委員会が開かれる発端となったのは、令和六年三月に元西播磨県民局長によって作成された文書がマスコミ、県議会議員、警察に配付されたことにある。この文書には知事に関する真偽不明の疑義が七項目にわたって明記されていた。兵庫県は、この文書の主要な部分は事実無根と認定し、元県民局長については、解任の上、定年退職を取り消し、停職三か月の懲戒処分とした。兵庫県議会は、元県民局長が作成した文書について、百条委員会を設置して真偽を解明することとした。

 百条委員会は、知事や副知事など関係者から証言を得るのみならず、県職員にアンケート調査を実施して参考資料としている。当該アンケート調査の方法や内容については、不備を指摘する声も多く聞かれる。例えば、アンケート調査は、原則オンラインで実施されたが、QRコードから何度でもログインすることが可能な仕様になっており、同一人物が複数回の回答を行うことができるため、集計データが偏向する可能性も否定できない。また、選択回答形式の質問に対する回答は全て同じ四択となっているが、「目撃(、経験)等により実際に知っている人から聞いた」、「人づてに聞いた」という判断しにくく、間違えやすい選択肢となっている。また、自由記述欄もあるが質問とは関係ない記述もあり、それを排除せずに集計していることから、記述内容によっては見た者に余計な印象を植え付けることも危惧されるものとなっている。百条委員会では、当該アンケート調査に記述された虚偽の告発を信じた委員が知事に対して強く追及してしまう場面も見られた。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 百条委員会に出頭した者は、証言を拒んだり、偽証したり、求められた資料を提出しなかったりすると罰則規定がある。しかし、百条委員会が実施したアンケート調査に虚偽の内容を書いた者や何度も回答するなど不正を行った者に対する罰則規定がないことは、公平性を欠き、真の解明につながらないと思料するが政府の見解を示されたい。

二 百条委員会が実施したアンケート調査は特定多数に対して行われたため、記名での回答が得にくく、約九十三パーセントは無記名回答となった。記名と比較して無記名での回答は信憑性が低くなると考えられる。そのような調査結果を参考資料として百条委員会で利用するのは不適切だと思料するが政府の見解を示されたい。

三 前記百条委員会が行ったアンケート調査の結果を基に、四割の兵庫県職員が知事のパワハラを見聞きしたという旨のテレビ報道が繰り返しなされた。公共の電波を使って発信する内容として公平性・適切性に問題があると思料するが政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。