第216回国会(臨時会)
質問第三〇号 数々の問題点を会計検査院から指摘されてきたガソリン補助事業等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年十二月十六日 浜田 聡
参議院議長 関口 昌一 殿 数々の問題点を会計検査院から指摘されてきたガソリン補助事業等に関する質問主意書 政府は、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」(令和六年十一月二十二日閣議決定)において、燃料油価格激変緩和対策事業(以下「ガソリン補助事業」という。)を令和七年一月以降も延長することとし、電気・ガス料金への支援を令和七年一月から三月にかけて再開することとした。ガソリン補助事業は、令和四年一月に時限的・緊急避難的措置として開始され、年内に限り継続するとされていたが、補助の規模を縮小して四年目に差し掛かっている。電気・ガス料金への支援は、令和五年一月から開始され、令和六年五月に一旦終了した後、同年八月から十月に「酷暑乗り切り緊急支援」として再開され、次回で三度目の実施となる。 会計検査院は、「令和四年度決算検査報告」において、ガソリン補助事業の実施状況について、以下指摘している。 ・歳出予算現額のうち三兆二百二十二億円を令和四年度から五年度に繰り越し ・同一の燃料油に二重に基金補助金を交付 ・事務局である株式会社博報堂が再委託により六十二億円(上限額)で実施していた価格モニタリング業務(中略)の調査結果は(中略)、電話調査及び現地調査がどのように小売価格の抑制に寄与しているのか不明 ・ガソリン販売実績量等を基に推計した価格抑制額(一兆二千六百七十一億円)は基金補助金の交付額(一兆二千七百七十三億円)を百一億円下回っており、事業前後の小売価格と卸売価格の価格差を分析したところ分析対象SSの半数以上で事業開始後に価格差が拡大 ・資源エネルギー庁が行政事業レビューシート等で設定していた成果目標は、達成すべき目標として適切とはいえない また、会計検査院は、「令和五年度決算検査報告」において、電気・ガス価格激変緩和対策事業の実施状況について、以下の旨指摘している。 ・(令和)四年度の歳出予算現額三兆一千七十三億円のうち二兆五千三百四十六億円を五年度に繰越し、五年度の歳出予算現額三兆二千五百二十七億円(補助金)及び二百三十五億円(委託費)のうち五千七百十四億円(補助金)及び二百三十五億円(委託費)を六年度に繰越し ・事務局(株式会社博報堂)の事務費は、委託費率及び再委託費率が五十パーセントを大きく超えている ・事務局(株式会社博報堂)は、補助金の前払を受けた小売事業者の倒産リスクに備えて信用保証会社と締結した信用保証契約において、実際の補助金の前払交付額を上回る保証希望額により信用保証料を算定。また、事業実施期間中の倒産リスクが極めて小さい大企業も含めて信用保証料を支払 ・前期事務局(株式会社博報堂)と後期事務局(デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社)の一か月当たりの事務費についてみると、後期事務局は前期事務局と比べて十八・七パーセントとなっていて、事務局運営期間の差を考慮したとしても、大幅に削減される見込み これらを踏まえ、以下質問する。 一 「令和四年度決算検査報告」におけるガソリン補助事業の実施状況についての指摘に対する政府の見解を示されたい。 二 「令和五年度決算検査報告」における電気・ガス価格激変緩和対策事業の実施状況についての指摘に対する政府の見解を示されたい。 三 前記一及び二について、会計検査院からの指摘を受けて、政府が行った対応があれば指摘ごとに全て示されたい。 四 昨今、国民民主党の減税政策の一つであるトリガー条項凍結解除が話題となっているが、トリガー条項凍結解除による国税及び地方税の減収額を政府において試算しているか。試算していればその詳細を示されたい。 五 「令和四年度決算検査報告」を踏まえれば、ガソリン補助事業は国民への還元率が高くなく、「無駄に税金を使っている」と受け止める国民は少なくないと考える。ガソリン補助事業の再開によって会計検査院から再び指摘を受けるようなことがあれば、政府への信頼は失墜する一方である。したがって、ガソリン補助事業の再開を撤回し、トリガー条項凍結解除ないし当分の間税率廃止などの減税政策を速やかに検討すべきと考えるが政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |