質問主意書

第216回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二一号

認定特定非営利活動法人フローレンス等が赤い羽根共同募金の受配者であり社会福祉法第百二十二条の禁止事項に反して寄附金を募集している可能性等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年十二月十一日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   認定特定非営利活動法人フローレンス等が赤い羽根共同募金の受配者であり社会福祉法第百二十二条の禁止事項に反して寄附金を募集している可能性等に関する質問主意書

 共同募金運動は、昭和二十二年に「国民たすけあい運動」として始まった。私が提出した「赤い羽根共同募金の受配者が社会福祉法第百二十二条に反して寄附金を募集していることに関する質問主意書」(第二百十一回国会質問第八三号)に対する答弁書(内閣参質二一一第八三号)において、政府は、「共同募金事業は、社会福祉事業への寄附金の募集について、これを一元的に行うことにより、各社会福祉施設等がそれぞれ個別に寄附金を募集するよりも、合理的かつ効率的に行うことができるようにすることを趣旨の一つとしているものであり、社会福祉法第百二十二条は、こうした共同募金事業の性格を明らかにする趣旨の規定である。」と答弁している。また、東京都共同募金会は、令和五年度の共同募金の受配者の募集に当たって、「共同募金の配分を受けた者は、配分を受けた後一年間は、その事業の経営に必要な資金を得るために寄附金を募集してはならない」(社会福祉法第百二十二条)を勘案するよう周知をしている。

 共同募金の配分に関する公告及び共同募金の受配者の団体ホームページなどを確認すると、事業の経営に必要な資金を得る目的で寄附金を募集している団体の中には、特定非営利活動推進法(平成十年法律第七号)(以下「NPO法」という。)第四十四条による認定を受けた認定特定非営利活動法人(以下「認定NPO法人」という。)が含まれている。

 認定NPO法人の財源である寄附・会費について、株式会社ファンドレックスが公開情報を基に分析している。同社が行った令和三年の調査によれば、千百八十の認定NPO法人のうち、一億円以上の寄附・会費収入があるのは三十四団体である。約三%の団体の寄附・会費が、認定NPO法人の寄附・会費全体の七十一・九%を占めていることになる。

 内閣府のNPOホームページでは、「NPO法人制度は、情報開示を通じて、市民の選択、監視、あるいはそれに基づく法人の自浄作用による改善発展を前提とした制度であることから、さまざまなかたちで行政の関与を抑制しています」と記載されている。NPO法第四十四条では、NPO法人のうち、「その運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資するものは所轄庁の認定を受けることができる」とされており、所轄庁は、同法第四十五条に規定されている運営組織と事業活動等に関する様々な「基準に適合すると認めるときは、認定をするものとする」とされている。また、租税特別措置法に基づき、認定NPO法人等に対し、法人が寄附した場合には寄附金の損金参入等の特例が、個人が寄附した場合には寄附金控除等の特例等がそれぞれ適用される(以下「寄附者に対する税制上の優遇措置」という。)。あわせて、認定NPO法人自身に対する税の優遇措置(以下「みなし寄附金制度」という。)も適用される。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 約三%の団体の寄附・会費が、認定NPO法人の寄附・会費全体の七十一・九%を占めていることは注目に値すると考える。他方、社会福祉法第百二十二条の規定により、地域の要請や実情に合わせ、耳目を集めるに至らないような社会福祉活動に対し、善意の募金・寄附金を公平かつ合理的に配分していることは、公益に資すると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 社会福祉法第百二十二条に規定されている受配者の寄附金募集の禁止に抵触していると見受けられる事例について、共同募金の配分を受けた者の寄附金募集ホームページ及び同ホームページのインターネット・アーカイブ(Wayback Machine)から三例挙げる。

 一例目として、認定NPO法人フローレンスについては、令和五年三月三十日及び令和六年一月五日時点での寄附金募集を示すインターネット上の記録が存在している。令和四年度から令和五年度にかけて継続的な寄附金募集が行われ、現在も寄附金募集していることが確認できるところ、赤い羽根共同募金(令和四年度分)から二十万円及び四十九万円、赤い羽根共同募金(令和五年度分)から十三・八万円を受配している。

 二例目として、認定NPO法人キッズドアについては、令和五年二月二十一日及び同年十二月二十五日時点での寄附金募集を示すインターネット上の記録が存在している。令和四年度から令和五年度にかけて継続的な寄附金募集が行われ、現在も寄附金募集していることが確認できるところ、赤い羽根共同募金(令和四年度分)から二十万円を受配している。

 三例目として、認定NPO法人メタノイアについては、認定前の令和五年三月十四日及び同年十一月三十日時点での寄附金募集を示すインターネット上の記録が存在している。令和四年度から令和五年度にかけて継続的な寄附金募集が行われ、現在も寄附金募集していることが確認できるところ、赤い羽根共同募金(令和四年度分)から百二十一万円を受配している。

 共同募金の配分は、社会福祉法第百十七条第三項に規定されているとおり募金運動終了の翌年度になる可能性を踏まえても、前記三法人による寄附金募集の時期と共同募金の配分時期が重複していることが確認できる。

 特に、認定NPO法人フローレンスの共同募金(令和五年度分)の受配の時期は、東京都共同募金会による前記周知の時期と重複している。前記三法人による寄附金募集行為は社会福祉法第百二十二条に違反すると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 認定NPO法人の多くは、NPO法第四十四条に基づき所轄庁に認定されることで、高い公益性と健全な運営体制があると認められた旨広報しており、国民からは、お墨付きを与えられた優れた団体と認識されることとなる。

 また、租税特別措置法に基づき、認定NPO法人に寄附する法人又は個人には寄附者に対する税制上の優遇措置が、認定NPO法人自身にはみなし寄附金制度が適用される。本来国庫へ納付されるべき税が、租税特別措置法により認定NPO法人に実質的に流れていると捉えられるが、政府の見解を示されたい。

四 NPO法第四十五条第一項第八号に規定される認定申請可能となる最低限の期間は、その法人設立の日以後一年を超える期間が経過していることであり、運営組織と事業活動が適正であると判断するには非常に短い可能性がある。一度認定をされると、認定NPO法人は租税特別措置法の適用を受けることになるため、厳格な認定及び再認定の実施が求められると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 NPO法第四十五条第一項第七号には、「法令又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反する事実、偽りその他不正の行為により利益を得、又は得ようとした事実その他公益に反する事実がないこと。」とある。前記三法人について、前記二に示した社会福祉法第百二十二条に抵触すると見受けられる寄附金募集行為、また、東京都生活文化スポーツ局が公開している事業報告書の活動計算書における「受取寄附金」との科目から分かるとおり、寄附金を得ていた事実を鑑みると、NPO法第四十五条第一項第七号に適合しないものと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 前記二及び五に示した各事例は、NPO法第四十五条第一項第七号を満たさず、NPO法第四十四条の認定の維持及び再認定を妨げると考えるが、政府の見解を示されたい。

七 所轄庁は、NPO法第六十七条第二項第一号に基づき、認定NPO法人が同法第四十五条第一項第七号に掲げる基準に適合しなくなったとき、同法第四十四条第一項の認定を取り消すことができ、内閣総理大臣は、NPO法第六十九条に基づき、認定の取消し若しくは特例認定の取消しその他の措置を採るべきことを指示することができると規定されている。NPO法における認定制度の維持及び社会福祉法における共同募金の公平性の趣旨を踏まえると、石破総理は前記三法人に対する認定の取消しを指示するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

八 広告やメディア広報などにより数億円を超える寄附金等を受けている少数の認定NPO法人への寄附金等の偏重と、同法人による共同募金の受配、禁止行為である寄附金募集により利益を得た事実を看過するならば、共同募金という仕組みとその公益性や意義が否定されることとなると考えるが、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。