第216回国会(臨時会)
質問第八号 AV出演被害に関するワンストップ支援センターへの相談状況に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年十一月二十九日 石垣 のりこ
参議院議長 関口 昌一 殿 AV出演被害に関するワンストップ支援センターへの相談状況に関する質問主意書 内閣府が公表した資料「AV出演被害に関するワンストップ支援センターへの相談状況」(以下「同資料」という。)によると、令和六年四月末時点で取りまとめた相談件数は、令和四年度が百六十四件、令和五年度が二百十八件となっている。同資料では、相談者の属性について、「年代は、二十代が最も多く、六割弱を占めた」、「性別は、女性が約八割、男性が約二割であった」との記載しかない。 出演者の団体である一般社団法人映像実演者協議会が、ワンストップ支援センターへの相談状況(令和四年六月から十月の合計相談件数百三件)について情報開示請求をしたところ、全面黒塗りの状態で開示され、詳細を把握することができなかったという。今後、「AV出演被害防止・救済法」(以下「法」という。)改正等の施策の方向性を決める上で、相談者の属性が出演者本人、家族や知人、制作者側等のいずれなのかを明らかにすることは重要だと考える。 また、同資料では、相談内容について、「法の施行日前(令和四年六月二十二日以前)に締結された契約に関する相談が百四十六件」、「法施行後(令和四年六月二十三日以降)に締結された契約に関する相談が百八十四件」、「出演したAVの公表後の相談が二百六十三件、公表前の相談が五十二件」しか記載されていない。対象となる制作物が、「AV人権倫理機構」に賛同するメーカーやプロダクションが制作した、当時「適正AV」と言われた制作物、交際相手との性行為を撮影したリベンジ動画、いわゆるパパ活等で個人が撮影した動画、海外メーカーの制作物等のいずれに該当するか明らかになっていない。また、契約内容等が法令に違反しているか否かも明らかになっていない。 法施行後、法令を遵守しているメーカーやプロダクションが制作した制作物についても相談が絶えないのであれば、現行の法規制では不十分であるため、対策の強化が必要となり得る。しかし、法令を遵守していないメーカーや国内法が適用されない海外のメーカーの制作物に関する相談が多いのであれば、規制を強化したところでそれらの違法又は脱法メーカーには何ら影響はなく、被害の防止につながらないと考える。 それゆえ、効果的な施策を検討する上で、前述したような相談の対象となった制作物の制作者の属性についても明らかにする必要があると考える。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 令和六年度におけるAV出演被害に関するワンストップ支援センターへの相談件数について、最新の集計結果を明らかにされたい。また、相談者について、出演者本人、家族や知人、制作者側など、属性ごとの相談件数を明らかにされたい。 二 相談の対象となっている制作物について、「AV人権倫理機構」に賛同するメーカーやプロダクションが制作した制作物、リベンジ動画、いわゆるパパ活等の個人撮影の動画、海外メーカーの制作物等の制作主体等に応じた区分けができているか。できている場合は、法施行前の制作物ごと、法施行後の制作物ごとにその数を明らかにされたい。 三 前記二について、相談者が対象としている制作物の制作主体に関するデータを取得していない場合は、その理由を明らかにされたい。 四 相談の対象となっている制作物について、法令にのっとった契約書が交わされているなど法令が遵守されているものと、契約を書面で交わしていないなど法令違反の可能性があるもの、それぞれの数を把握している場合は、その数を明らかにされたい。また、それぞれの数を把握していない場合は、その理由と把握する必要性について政府の見解を明らかにされたい。 五 制作主体ごとの相談件数を調べることは、今後、AV出演被害を防止する上で重要だと考えるが、政府の見解を示されたい。 六 法施行後、政府は業界の現況調査をどのように行い、どのように把握しているのか、現状を明らかにされたい。 右質問する。 |