質問主意書

第216回国会(臨時会)

質問主意書

質問第七号

政府が税に関する試算を公表した場合はその試算の根拠となる試算式を公表する必要性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年十一月二十八日

浜田 聡


       参議院議長 関口 昌一 殿



   政府が税に関する試算を公表した場合はその試算の根拠となる試算式を公表する必要性に関する質問主意書

 令和六年十月二十七日に執行された衆議院議員総選挙において、国民民主党は、基礎控除引上げ等による所得税減税、消費税減税、トリガー条項凍結解除等によるガソリン減税等の減税政策(以下「国民民主党の減税政策」という。)等を公約に掲げ、議席を四倍に伸ばした。国民民主党の減税政策に対しては、一定の民意が示され、国民の関心事として話題になっている。日本経済新聞の同年十月三十日のインターネット記事では「国と地方の合計で年間で七兆六千億円ほどの減収になることが三十日分かった。政府が試算した。」と報道され、他メディアでも政府が公表したとする税の減収額について様々に報道されている。また、同年十一月五日の総務大臣記者会見において、村上総務大臣は「仮に単純に基礎控除の額を、国・地方において七十五万円ずつ引き上げた場合は、一定の仮定をおいて機械的に計算すれば、地方の個人住民税だけで四兆円程度の減収と見込まれております。」と発言している。国民民主党の減税政策に国民の高い関心が集まっているところ、当然にこれら政府が公表した税の減収額の試算についても関心の高い国民は多いものと考える。以上を踏まえて、政府が公表したとされる税の減収額の試算について以下質問する。

一 私の事務所から財務省に対して、国民民主党の減税政策のうち、所得税の減税策である基礎控除引上げについて、政府による税の減収額の試算の根拠を問い合わせたところ、「基礎控除七十五万円引上げにかかる粗々の減収額試算について、所得税収に与える影響額について、現行制度の基礎控除(国分:四十八万円)のもとでの税収の減収額は、二・六兆円程度と推計しており、ここから基礎控除一万円当たりの減収額を機械的に試算すれば、五百億円程度であり、基礎控除を七十五万円引き上げた場合の減収額は、四兆円弱程度。地方住民税収に与える影響額について、国分と同様に試算すれば、基礎控除を七十五万円引き上げた場合の減収額は約四兆円程度。上記の試算は相当の幅をもって見る必要があり、国地方を合わせた減収額は七~八兆円程度と考えられる。」と回答があったが、この回答は政府の正式見解と変わりないか示されたい。

二 前記一について、現行制度の基礎控除(国分:四十八万円)のもとでの税収の減収額「二・六兆円程度」を試算した際に基にした統計データの種類及び年度を示されたい。また、試算に用いられたデータ全て及びその試算式を示されたい。

三 前記一について、国税の減収額「四兆円弱程度」及び地方税の減収額「約四兆円程度」それぞれについて、試算に用いられたデータ全て及びその試算式を示されたい。

四 前記一について、この試算には所得税減税による他租税への影響や、乗数効果等の副次的な影響や波及的な影響は含まれているか示されたい。

五 前記四について、副次的な影響や波及的な影響が含まれていない場合、前記一の試算のみをもって政策判断することは到底困難であるが、このような試算を国民へ公表した政府の目的を示されたい。

六 政府が公表する税の減収額については、国民の高い関心が寄せられることから、試算を公表した際は政府のホームページ等で試算に用いられたデータ全て及びその試算式をすべからく公表すべきではないか。政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。