質問主意書

第215回国会(特別会)

答弁書

内閣参質二一五第四号
  令和六年十一月二十二日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員山本太郎君提出コストカット型経済と消費増税等の関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出コストカット型経済と消費増税等の関係に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 経済動向は様々な要因が複合的に作用して変動するため、お尋ねについて確たることを申し上げることは困難であるが、その上で、御指摘の「安倍政権下での消費税率の引上げ」が経済に与えた影響等については、令和四年十一月一日の参議院財政金融委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「消費税率の引上げ、これは社会保障と税の一体改革の中で行われたものでありまして、社会保障の充実、安定化と財政の健全化の同時達成を目指す中で、社会保障の安定財源の確保のための負担を幅広く国民各層に求めるということにしたものであります。・・・確かに、経済、消費への影響があること、これはもう否定はできません。けれども、一方において、その増収分は保育の受皿拡充や幼児教育、保育の無償化などの社会保障給付という形で家計に還元されている、そういうプラス面もあるということも評価をしていただきたいと思います。」と述べているとおりである。

三について

 個別の政策が個別企業の具体的な活動に与える影響は様々であると考えられることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、内閣の経済財政政策については、令和六年十月七日の衆議院本会議において、石破内閣総理大臣が「アベノミクスは、デフレではない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加傾向にもつながりました。こうした成果の上で、岸田内閣の新しい資本主義の取組が、最低賃金の過去最大の引上げ、名目百兆円超の設備投資などにつながったものと認識をいたしております。」と述べたとおりであり、また、下請取引については、例えば、中小企業庁が令和六年六月二十一日に公表した「価格交渉促進月間(二〇二四年三月)フォローアップ調査結果」において、「発注企業から交渉の申し入れがあり、価格交渉が行われた」割合は十八・四パーセントであり、前年同月の七・七パーセントに比べて上昇している。これらのことから、内閣の経済財政政策が御指摘のような企業の経営を助長したとは考えていない。

四及び五について

 労働者派遣については、役員を除く雇用者に占める派遣労働者の割合は令和五年平均で二・七パーセントと少なく、また、これまでの労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の改正により、雇用の安定のための措置や、同一労働同一賃金の導入等による公正な待遇の確保を進めてきたところである。

 また、御指摘の出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(平成三十年法律第百二号。以下「改正入管法」という。)は、生産性の向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に限り、一定の専門性や技能を有し即戦力となる外国人を受け入れることを目的として在留資格「特定技能一号」及び「特定技能二号」を創設すること等を内容とするものである。加えて、特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(平成三十一年法務省令第五号)において、これらの在留資格に係る活動を行おうとする外国人と雇用に関する契約を締結しようとする本邦の公私の機関に対し、当該外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上である契約を締結することを義務付けている。

 これらのことから、労働者派遣に係るこれまでの制度改正及び改正入管法が、御指摘のように「コストカット型経済を助長した」とは考えていない。