第214回国会(臨時会)
内閣参質二一四第五号 令和六年十月十一日 内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 林 芳正
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員神谷宗幣君提出オーバーツーリズム対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員神谷宗幣君提出オーバーツーリズム対策に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「オーバーツーリズム対策」については、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」(令和五年十月十八日観光立国推進閣僚会議決定。以下「パッケージ」という。)を取りまとめるとともに、令和五年度補正予算において、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」を措置し、観光客へのマナー啓発等の地域における意欲的な取組について、総合的な支援を開始したところであり、政府としては、観光客の受入れと住民の生活の質の確保の両立が図られるよう、引き続き、必要な対策に取り組んでまいりたい。 また、お尋ねの「実績」については、令和六年三月以降、御指摘の「オーバーツーリズム対策」に先駆的に取り組む二十六のモデル地域を選定し、支援を開始したところであり、お尋ねの「効果」については、現時点でお答えすることは困難である。 二及び三について お尋ねの「社会的・経済的コスト」、「インバウンドに過度に依存するリスク」、「必要な試算」、「日本人の国内観光への影響」及び「日本人旅行者が影響を受けないような施策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「観光客が集中する一部の地域や時間帯等によっては、過度の混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響や、旅行者の満足度の低下への懸念も生じている状況であり、適切な対処が必要」との考えの下、令和五年十月十八日にパッケージを取りまとめたところであり、一についてで述べたとおり、引き続き、必要な対策に取り組んでまいりたい。 四について 前段のお尋ねについては、御指摘の「国立公園内に大規模宿泊施設を誘致する計画」の有無を問わず、政府としては、自然の風景地の保護等を目的として、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第二十条第三項第一号、第二十一条第三項第一号及び第二十二条第三項第一号の規定に基づき、国立公園内における工作物の新築、改築又は増築に対して適切に規制を行っている。 後段のお尋ねについては、お尋ねの「安全保障上のリスク」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号)第五条第一項に規定する注視区域内については、国立公園の区域も含め、重要施設及び国境離島等に対する機能阻害行為を防止するべく、関係法令の規定に基づき、適切に対応してまいりたい。 五について 御指摘の「特定の観光施設」及びお尋ねの「制度」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として、例えば観光の用に供される施設の入場料金の額及び当該料金の使途については、当該施設の管理者が判断するものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。 六について お尋ねについては、令和六年五月十三日の衆議院決算行政監視委員会第四分科会において、石原国土交通省公共交通政策審議官(当時)が「道路運送法において、特定の旅客に対して不当な差別的取扱いをすることを禁じております。どのような運賃が不当差別となるかについては、個別の事案ごとに判断することになります」と答弁したとおりであり、お尋ねの「道路運送法における差別的取扱いに該当するか」及び「一般的に差別的取扱いに該当するか」については、個別の事案に応じて判断されるべきものと考えており、一概にお答えすることは困難である。 七について 前段のお尋ねについては、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六条第三項の規定に基づき、本邦に上陸しようとする外国人(乗員を除く。)は、査証が免除される者かどうかにかかわらず、入国審査官に対し、同項に規定する個人識別情報を提供することが義務付けられており、出入国在留管理庁においては、過去に退去強制されたことがありながら偽変造旅券等を行使して不法入国しようとする者等を発見できるようになっている。また、入国審査官による上陸審査においては、同庁が保有する慎重な審査を要する人物のリストと照合を行う等の厳格な審査に努めている。これらの水際対策に加えて、関係機関が緊密に連携を図り、不法就労者、不法滞在者等の取締り等に取り組んでいるところである。 後段のお尋ねについては、令和六年六月二十一日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針二〇二四」において「円滑・厳格な審査に向けた電子渡航認証制度導入の準備」に取り組むこととしており、諸外国の制度について情報を収集する等、導入に向けた検討を行っており、訪日外国人旅行者数について令和十二年に六千万人を目指すという政府目標を踏まえて、適切な時期に導入したいと考えている。 |