質問主意書

第214回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一四第四号
  令和六年十月十一日
内閣総理大臣臨時代理        
国務大臣 林 芳正


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出中国における日本人の安全対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出中国における日本人の安全対策に関する質問に対する答弁書

一、二及び五の前段について

 御指摘の広東省深せん市における事件の発生を受け、我が国政府としては、例えば、令和六年九月十九日の記者会見における上川外務大臣(当時)の「そもそも外務省といたしましては、本年六月の蘇州における事件の発生を受けまして、これまで日本人学校、補習授業校等に対しまして、安全対策の再点検を早急に行うよう伝達の上、各在外公館からも安全対策の指導を行ってきたところであります。・・・そうした中で本件事案が起きてしまったことを大変残念に思っております。」との発言のように受け止めており、中国政府に対し、例えば、令和六年九月二十三日(現地時間)の日中外相会談において、同大臣(当時)から王毅中国外交部長に対し、「(一)犯人の動機を含む、一刻も早い事実解明と日本側への明確な説明、さらには犯人の厳正な処罰と再発防止、(二)中国に在留する日本人、とりわけ子どもたちの安全確保のための具体的措置、(三)日本人学校に関するものを含む、根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿等は、子どもたちの安全に直結し絶対に容認できないとして、早急な取り締まりの徹底を強く求め」る等、様々なレベルで、これらの対応を強く求めているところである。

 中国における日本人学校の安全対策を強化するために、我が国政府としては、これまでも、中国における我が国の在外公館から中国各地の日本人学校に対し、警備に要する費用に対する支援のほか、早急な安全対策の再点検を含む安全対策指導を行ってきており、また、このような事件の再発を防ぐために、在留邦人等の要望を踏まえつつ、中国各地の日本人学校が警備員を増員するために要する費用を支援する等、必要な対応につき検討を進めているところである。

三について

 御指摘の「危険レベル」については、政府としては、渡航・滞在するに当たって特に注意が必要と考えられる国・地域に関して、日本国民の生命又は身体に対する脅威を考慮しつつ、中長期的な観点から、当該国・地域の治安情勢を始めとする政治情勢、社会情勢等を総合的に判断して決定してきており、お尋ねの「中国全域に対する渡航に係る危険レベル」についても、これらの観点を踏まえ、引き続き適切に判断してまいりたい。

四について

 学習指導要領における特別活動に位置付けられる修学旅行の行き先等の内容については、地域や学校の実態及び児童・生徒の心身の発達の段階や特性等を十分考慮して、各学校において定めるべきものであるが、海外への修学旅行における児童・生徒の安全確保等については、各学校における修学旅行先の決定に当たって外務省が発出する海外安全情報を参考に慎重な検討を行うべきこと等を各都道府県教育委員会等に対し、周知しているところであり、各学校においては、これを踏まえて適切に対応しているものと認識している。

五の後段及び六について

 お尋ねの「外国人全体の安全確保」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国政府としては、中国における日本人の安全対策を一層強化するため、外国政府との間で平素から情報共有を含めたやり取りを実施してきており、国際世論に対する正確かつ効果的な対外発信の在り方についても、御指摘の「反日的なコンテンツや誤情報」への対応を含め、中国における日本人の安全確保のために何が最も効果的かという観点から不断に検討しつつ、適切に対応していく考えである。